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 ソフト開発分野では、新しいプラットフォームへの注目度の高さが目立った。モバイル・アプリケーションのプラットフォームとなる「Android」と「iPhone」がそれぞれ1位、2位を獲得。さらに、PaaS(Platform as a Service)として提供するクラウド・サービス「Google App Engine」と「Windows Azure」がそれぞれ5位、6位に入った。

表1●2010年に注目したいソフト開発分野のITキーワード
表1●2010年に注目したいソフト開発分野のITキーワード(有効回答数=2803)
(有効回答数=2803)
表2●2009年に注目したソフト開発分野のITキーワード
表2●2009年に注目したソフト開発分野のITキーワード(有効回答数=2803)
(有効回答数=2803)

 ITpro編集部が用意したソフト開発分野の25個のキーワードの中から「2010年に注目したいソフト開発分野のITキーワード」(表1)として1位になったAndroidは、米Googleが開発・提供する携帯機器向けソフトウエア基盤である。GoogleはAndroid用のソフトウエア開発キット(SDK)である「Android SDK」のWindows版/Mac OS X(Intel Mac)/Linux版をWebサイトでダウンロード提供。加えて、Androidアプリケーションの販売/配布サイトである「Android Market」を運用している。

 Android Marketの登録アプリケーションの種類は2009年12月15日時点で約2万本。直近の3カ月でほぼ倍増している(関連記事)。「App Store」で先行する米Appleが、同Storeで配信しているiPhone/iPod touch向けアプリケーションの種類は2009年11月4日時点で10万本超(関連記事)。Androidは現時点での数では負けているが、今後の伸びが注目される。

 一方、「2009年に注目したソフト開発分野のITキーワード」(表2)で1位になったiPhoneアプリは、「2010年に注目したいITキーワード」では2位と順位を一つ落とした。得票数は1006票から616票に減少。Androidの勢いに押される格好になった。

 iPhone用ソフトウエア開発キットであるiPhone SDKでは、プログラミング言語として、一般のプログラマにあまりなじみがないObjective-Cを利用する。このことがアプリケーション開発に着手するハードルをやや高くしている可能性はある。米Adobe Systemsは2010年にリリース予定の次期Flash作成ツール「Adobe Flash Professional CS5」でiPhoneアプリ開発を可能にすることを発表しており(関連記事)、このツールが受け入れられればiPhoneアプリケーション開発者層が広がるかもしれない。

2012年を目標に規格化が進む「HTML5」が3位に

 「2010年に注目したいITキーワード」で3位に入ったHTML5は、W3C(World Wide Web Consortium)が2012年を目標に規格化作業を進めている次期バージョンのHTMLである。HTML5の最大の特徴は、Webブラウザが「あたかもOSのようにJavaScriptに機能を提供する」ことにある(関連記事)。これまでFlash Playerなどのプラグイン・ソフトを使わなければ実現できなかったような機能を、JavaScriptで実現できるようになる。

 さらに、画像を描画する領域を指定する「canvas要素」、動画を埋め込むための「video要素」、音声を埋め込むための「audio要素」などを追加。プラグイン・ソフトなしで動画や音声の再生/制御が可能になる。当初の目論見通りにHTML5が規格化されれば、ブラウザのみで実現できるWebコンテンツの幅が大きく広がることが期待される。

 引き続き、「2010年に注目したいITキーワード」の第4位は、2010年春にリリースが予定されているマイクロソフトの統合開発ツール新版「Visual Studio(VS)2010」である。アプリケーション・ライフサイクル管理や,テスト駆動開発などエンタープライズ開発向けの機能強化のほか、同社のRIA(リッチ・インターネット・アプリケーション)環境「Silverlight」のGUIベース開発が可能になることなどが特徴である。

 VS 2010と並行して開発が進められているアプリケーション開発・実行基盤の新版「.NET Framework 4.0」は、「2010年に注目したいITキーワード」の第7位に入った。VS 2010と同じく2010年春にリリースする予定だ。時期が近づいているから当然とも言えるが、いずれのキーワードとも「2009年に注目したITキーワード」から大きく順位を上げている。

実運用に適用するための環境が整いつつあるPaaS

 クラウド・サービス関連では、Google App EngineとWindows Azureが「2010年に注目したいITキーワード」でそれぞれ、5位と6位を占めた。クラウド・サービスと言えば、ある程度具体的な業務を想定したサービスやそのAPIを提供するSaaS(Software as a Service)を思い浮かべることが多い。Google App EngineとWindows Azureはアプリケーションのプラットフォームとしての機能を提供するPaaS(Platform as a Service)型のサービスである。

 Google App Engineは登場した当初、プログラミング言語としてPythonだけに対応していた。Googleが2009年春にJava対応版「Google App Engine for Java」の提供を開始したことで注目度が向上。さらに、オープンソース・ソフトウエアSeasarの開発者として著名なひがやすを氏がGoogle App Engine for Java向けのフレームワーク「Slim3」(関連記事)を発表するなど環境が整いつつあり、実運用を検討できる時期になって来た。

 米Microsoftが2009年11月に提供を開始したWindows Azureは、Windows環境における開発者のスキルや開発言語、運用管理技術などの既存資産が活用できる互換性が大きな“売りもの”である(関連記事)。Microsoftは既存の技術をAzureに取り込むだけでなく、Azureの技術を既存製品に取り入れていくことも進めている(関連記事)。

 デスクトップやクライアント/サーバーといった既存市場での覇者であるMicrosoftがクラウドにおける後発の不利を挽回するため、既存技術との互換性を打ち出す戦略は有効だろう。ただ、互換性にこだわり過ぎるとスケーラビリティなどの面で制約が出てくる可能性もある(関連記事)。