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 「オブジェクト指向とはなにか」をとてもわかりやすく説明している本である。今日,オブジェクト指向は現場で使われる実用的な技術になっている。プログラミング言語の多くがオブジェクト指向プログラミングをサポートするようになり,オブジェクト指向による分析や設計も実践されている。

 その一方で,「果たして使い物になるかどうかわからない」と思われていた時代に比べると,「オブジェクト指向」そのものに真正面から向き合う機会は減ってしまい,オブジェクト指向はむしろ理解しづらくなってしまった,というのがこの本の著者の問題意識である。例えば「初めてのプログラミング言語がJavaだった」という人にとって,オブジェクト指向言語は当たり前のツールではあっても,根底にあるオブジェクト指向プログラミングの考え方はなかなか見えてこないかもしれない。

 この本は,ソフトウエア開発の歴史を手続きやデータの抽象化,構造化プログラミング,モジュール化,そしてオブジェクト指向へと順にたどることで,オブジェクト指向プログラミングが成立してきた過程を順序立てて見せてくれる。

 例え話を無理に当てはめて説明するのではなく,必要最小限のプログラム・リストやUML(Unified Modeling Language)図を使い,ソフトウエア開発のための概念として実直に説明しているので,多少なりともプログラミングの知識がある読者には例え話よりずっと腑に落ちる。古典的なオブジェクト指向本の入手が難しくなってきた今,より良いプログラムを書くために一読しておきたい本だ。

いちばんやさしいオブジェクト指向の本 【第二版】

いちばんやさしいオブジェクト指向の本 【第二版】
井上樹著
技術評論社発行
1554円(税込)