PR

問題

問59 OSの機能の一つである仮想記憶方式の目的はどれか。

ア OSが使用している主記憶の領域などに、アプリケーションプログラムがアクセスすることを防止する。
イ 主記憶の情報をハードディスクに書き出してから電力供給を停止することで、作業休止中の電力消費を少なくする。
ウ 主記憶の容量よりも大きなメモリを必要とするプログラムも実行できるようにする。
エ 主記憶よりもアクセスが高速なメモリを介在させることによって、CPUの処理を高速化する。

テクノロジ系>コンピュータシステム>ソフトウェア>オペレーティングシステム

解説と解答

 仮想記憶方式は、ハードディスクの一部を主記憶として利用することによって見かけ上の主記憶の容量を拡大する記憶管理方式です。仮想記憶方式が提供する仮想記憶(仮想メモリー)の空間は主記憶(実メモリー)と同じように扱えるので、実際の主記憶の容量よりも大きなメモリーを必要とするプログラムを実行することができます。

 したがって正解は、選択肢ウです。

 そのほかの選択肢の記述に関する説明は、次の通りです。

 選択肢アの記述について。OSが使用している主記憶の領域がアプリケーションプログラムにアクセスされ、記憶内容が書き換えられてしまうと、システムが異常終了する原因になります。そのため、OSが使用している主記憶の領域などに、アプリケーションプログラムがアクセスすることを防止する仕組みがあり、これを記憶保護機構と言います。

 選択肢イの記述について。コンピュータの電源を切る直前の主記憶の情報をハードディスクなどにいったん書き出しておき、次に電源を入れたときに保存していた内容を読み出し、電源切断前の作業状態に復帰する機能にハイバネーション(hibernation)があります。ハイバネーションでは、作業休止の間は電源供給が停止しているので、省電力モードに移行して作業休止状態になるサスペンドに比べて電力消費を少なくすることができます。

 選択肢エの記述について。主記憶よりもアクセスが高速なメモリーであり、高速なCPUと低速な主記憶の間に置かれるバッファメモリーをキャッシュメモリー(cache memory)と言います。CPUと主記憶とのデータのやり取りにキャッシュメモリーを介在させることによって、CPUと主記憶のアクセス速度の差を埋めることができるため、CPUの処理を高速化することができます。

小倉 美香(おぐら みか)
アプリケーションデザイナー 代表取締役
情報サービス会社の勤務を経て、1998年より現職。保持する資格は、プロジェクトマネージャ、テクニカルエンジニア(ネットワーク)、同(情報セキュリティ)、基本情報技術者など多数。著書に「3週間完全マスター ITパスポート 2010年版」などがある。