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問題

問60 “甘味”、“うま味”、“塩味”、“酸味”、“苦味”の5種類の味覚を、6ビット(2進数で6けた)の数値で符号化する。これらを組み合わせた複合味を、数値の加減算で表現できるようにしたい。例えば、“甘味”と“酸味”を組み合わせた“甘酸っぱい”という複合味の符号を、それぞれの数値を加算して表現するとともに、逆に“甘酸っぱい”から“甘味”成分を取り除いた“酸味”を減算で表現できるようにしたい。味覚の符号として、適切なものはどれか。

テクノロジ系>基礎理論>基礎理論>離散数学

解説と解答

 まず、問題文で与えられた要件を整理してみましょう。

・要件1:味覚には、“甘味”、“うま味”、“塩味”、“酸味”、“苦味”の5種類があり、それぞれ6ビットの2進数で符号化する。
・要件2:5種類の味覚のうちから二つを組み合わせた味として複合味があり、それぞれの味覚を加算して符号化する。
・要件3:複合味の符号から、片方の味覚の符号を減算すると、もう片方の味覚の符号が求められる。

 要件1~要件3から、次の二つの符号化のための条件を導き出すことができます。

〔符号化の条件1〕
 要件1と要件2からは、複合味の符号は、既存の味覚やほかの複合味の符号と重複してはならないことが分かります。例えば、“甘味”と“酸味”を組み合わせた“甘酸っぱい”の符号は、既存の5種類の味覚の「"甘味"、"うま味"、"塩味"、"酸味"、"苦味"」や、ほかの複合味の符号と重複することはできません。

〔符号化の条件2〕
 要件2と要件3からは、二つの味覚を組み合わせた複合味を符号化するとき、計算結果の符号が6けたを超えてはならないことが分かります。もし、6けたを超えてしまうと、要件3を満たさなくなるからです。

 以上を前提に、それぞれの選択肢の内容を検討していきましょう。

○選択肢ア
 “甘味”(000000)と“酸味”(000011)を組み合わせた“甘酸っぱい”を符号化すると、000000+000011=000011になり、“酸味”と同じなります。これは、符号化の条件1を満たしていません。

○選択肢イ
 “甘味”(000001)と“酸味”(000100)を組み合わせた“甘酸っぱい”を符号化すると、000001+000100=000101となり、“苦味”と同じなります。これは、符号化の条件1を満たしていません。

○選択肢ウ
 最下位のけたが1のときを“甘味”、下から2けた目が1のときを“うま味”、下から3けた目が1のときを“塩味”…(以下、省略)のように、符号の各けたの位置とそれぞれの味覚を対応させています。このような符号化は、アクセス権(参照、更新、追加など)の設定にもよく用いられている方式です。これは、符号化の条件1と2をともに満たしています。

○選択肢エ
 最下位のけたが1のときを“甘味”、下から1~2けた目がすべて1のときを“うま味”、下から1~3けた目がすべて1のときを“塩味”…(以下、省略)のように、符号の複数のけたの位置とそれぞれの味覚を対応させています。
 ここでは、まず、符号化の条件1について検討してみましょう。複合味を求めたときの最下位ビットは必ず0になるので、既存の味覚の符号と重複することはありません。また、
・“苦味”が含まれている複合味は最上位のけたが1になる
・“酸味”が含まれている複合味は上から1~2けたの値が01になる(苦味が含まれている場合を除く)
・“塩味”が含まれている複合味は上から1~3けたの値が001になる(苦味、酸味が含まれている場合を除く)
といったように、複合味の符号が重複することもありません。

 次に、符号化の条件2を検討してみると、複合味の符号の値が最も大きくなる“酸味”(001111)と“苦味”(011111)を組み合わせた“苦酸っぱい”を符号化すると、001111+011111=101110となり、計算結果の符号は6けた以内に収まります。よって、符号化の条件1と2をともに満たしています。

 以上より、正解は選択肢ウと選択肢エになります(両方とも正解)。

小倉 美香(おぐら みか)
アプリケーションデザイナー 代表取締役
情報サービス会社の勤務を経て、1998年より現職。保持する資格は、プロジェクトマネージャ、テクニカルエンジニア(ネットワーク)、同(情報セキュリティ)、基本情報技術者など多数。著書に「3週間完全マスター ITパスポート 2010年版」などがある。