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問題

問49 内部統制に関する記述として、適切なものはどれか。

ア 内部監査人は、経営者による内部統制の整備や運用に対して監督責任をもつ。
イ 内部統制に関するリスクは、発生頻度でなく発生した場合の財務情報への影響度で評価する。
ウ 内部統制の評価法として、業務実施部門がチェックリストで自らの業務がルールどおりに行われているかを評価する独立的モニタリングがある。
エ 内部統制は、経営者が組織目的の達成について合理的な保証を得るためのマネジメントプロセスである。

マネジメント系>サービスマネジメント>システム監査>内部統制

解説と解答

 内部統制とは、企業などの組織体において不正な処理や誤った操作が行われないように監視・管理するため、組織体の内部にチェック体制や手続きを組み込んで運用する仕組みのことです。内部統制は組織のあらゆる業務に組み込まれており、組織内のすべての者によって遂行されるマネジメントプロセス(管理活動)です。

 組織体における内部統制の目的は、「業務の有効性・効率性」、「財務報告の信頼性」、「事業活動にかかわる法令等の遵守(コンプライアンス)」、「資産の保全」の四つです。内部統制を整備し有効に機能させることによって経営者は、これらの四つの組織目的が達成されているとの合理的な保証を得ることができます。

 したがって、正解は選択肢エです。

 そのほかの選択肢に関する説明は、次のとおりです。

 選択肢アについて。経営者による内部統制の整備や運用に対して監査責任を持つのは、その企業の監査役です。監査役は取締役から独立した立場で監査を行う者であり、商法により、すべての株式会社には監査役監査を実施することが義務付けられています。また、すべての上場企業には、日本版SOX法により、公認会計士による内部統制監査を実施することが義務付けられています。

 選択肢イについて。内部統制に関するリスクは、財務情報への影響度(予想損失額)と発生頻度を組み合わせて評価します。

 選択肢ウについて。内部統制の評価法には、独立的モニタリングと日常的モニタリングがあります。「業務実施部門によって自らの業務がルールどおりに行われているかを評価する」ことは、日常的モニタリングに該当します。独立的モニタリングとは、業務実施部門から独立した立場の者が業務を評価することです。独立的モニタリングの代表的なものとして、監査部門や監査人が行う内部監査があります。

小倉 美香(おぐら みか)
アプリケーションデザイナー 代表取締役
情報サービス会社の勤務を経て、1998年より現職。保持する資格は、プロジェクトマネージャ、テクニカルエンジニア(ネットワーク)、同(情報セキュリティ)、基本情報技術者など多数。著書に「3週間完全マスター ITパスポート 2010年版」などがある。