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中問A

 販売管理業務に関する次の記述を読んで、問89~92に答えよ。

 S社の販売管理業務は、受注処理、出荷処理及び請求処理で構成されており、業務効率の向上を目的として販売管理システムを利用している。
 販売管理業務の概要と販売管理システムの概要は、次のとおりである。

〔販売管理業務の概要〕
(1)受注処理では、営業担当者が顧客から注文依頼を受けると、受注データを販売管理システムに登録する。注文には、通常注文と優先注文の二つの種別がある。
(2)出荷処理では、受注データを基に在庫引当を行う。通常注文は在庫数の70% まで引当可能であり、優先注文は在庫数まで引当可能である。在庫引当ができた分は、倉庫担当者が納品書を作成して出荷作業を行う。在庫引当ができなかった分は、次の入荷を待ってから出荷する。
(3)請求処理では、毎月20日を請求締め日として、その翌日に経理担当者が出荷済データから顧客ごとに請求書を作成して送付する。

〔販売管理システムの概要〕
販売管理システムでは、受注処理、出荷処理、請求処理の結果が、それぞれ、受注管理ファイル、出荷管理ファイル、請求管理ファイルに登録される。

問題

問90 出荷処理において、引当数の求め方を流れ図で表すとき、次の図のc、dに入る適切な字句の組合せはどれか。

ア c:通常注文か、d:注文数≦在庫数の70%
イ c:通常注文か、d:注文数>在庫数の70%
ウ c:優先注文か、d:注文数≦在庫数の70%
エ c:優先注文か、d:注文数>在庫数の70%

テクノロジ系>基礎理論>アルゴリズムとプログラミング>アルゴリズム

解説と解答

 出荷処理における在庫の引き当て数の算出手順を表す流れ図(フローチャート)を完成させる問題です。引き当て数を求めるときのポイントは、引き当て数を算出するに当たって、引き当て可能在庫数が、受注データの注文数より少ない場合と、注文数以上ある場合に分かれることです。

 引き当て可能在庫数が注文数より少ない場合には、引き当て可能在庫数を引き当て数とします。一方、引き当て可能在庫数が注文数以上ある場合には、注文数を引き当て数とします。

 以上を前提に、引き当て数の算出手順を整理してみましょう。

(1)注文には、通常注文と優先注文の二つの種別がある。
(2)出荷処理では、受注データ(注文数)を基に在庫引き当てを行う。
(3)通常注文の場合は、在庫数の70%まで引き当て可能である。
 (3)-1 引き当て可能在庫数(=在庫数の70%)が注文数より少ない場合は、引き当て可能在庫数(=在庫数の70%)を引き当て数とする。
 (3)-2 引き当て可能在庫数(=在庫数の70%)が注文数以上ある場合は、注文数を引き当て数とする。
(4)優先注文の場合は、在庫数まで引き当て可能である。
 (4)-1 引き当て可能在庫数(=在庫数)が注文数より少ない場合は、引き当て可能在庫数(=在庫数)を引き当て数とする。
 (4)-2 引き当て可能在庫数(=在庫数)が注文数以上ある場合は、注文数を引き当て数とする。

〔空欄cについて〕
 出荷処理は、通常注文と優先注文では引き当て方法が異なるので、算出手順の最初の段階で、通常注文と優先注文のどちらの注文種別であるかを判定する必要があります。従って、空欄cには、この注文種別を判定するための条件が入ります。

 ここでは、空欄cの条件がNoのとき、「在庫数を引き当て数とする」という処理を行う場合があることに着目しましょう。この処理は、前述の(4)-1に該当するので、空欄cの条件がNoのときに優先注文の処理を行うことが分かります。したがって、空欄cの条件には「優先注文であること」の否定を表す内容が入るので、「通常注文か」が該当します。

〔空欄dについて〕
 空欄dには、通常注文のとき、必ず判定される条件が入ります。引き当て数を求めるときには、「引き当て可能在庫数(=在庫数の70%)」と「注文数」の比較を行い、その結果に基づいて引き当て数を算出します。

 空欄dの条件がNoのときには、「注文数を引き当て数とする」という処理を行っているので、この処理は前述の(3)-2に該当することが分かります。すなわち、空欄dの条件がNoのとき、引き当て可能在庫数が注文数以上ある場合(在庫数の70%≧注文数)の処理を行うようにします。従って、空欄dの条件には「在庫数の70%≧注文数」の否定を表す内容が入るので、「在庫数の70%<注文数」が該当します。

 以上より正解は、選択肢イです。

 すべての空欄を記述した完成後の流れ図は、次のようになります。

小倉 美香(おぐら みか)
アプリケーションデザイナー 代表取締役
情報サービス会社の勤務を経て、1998年より現職。保持する資格は、プロジェクトマネージャ、テクニカルエンジニア(ネットワーク)、同(情報セキュリティ)、基本情報技術者など多数。著書に「3週間完全マスター ITパスポート 2010年版」などがある。