中問B
商品の販売データの分析に関する次の記述を読んで、問93~96に答えよ。
N社の営業部では、今年度の販売戦略立案に向けて、前年度の商品売上実績を売上総利益率、商品回転率及び売上構成比率の視点で分析することにした。ここで、商品回転率は、一定期間の売上高を平均在庫高で割った値である。
分析には表計算ソフトを用いることとし、前年度の売上に関する資料を基に図のようなワークシートを作成した。ここで、列I、列Jの計算式は、セルA2~H11の範囲を、列Bをキーとして降順に整列した後に入力する。

問題
問94 売上の分析に当たっては、売上総利益率と商品回転率がともに高い商品が、販売効率が良く利益の上がる良い商品と判断される。そこで、販売効率を示す指標と売上高を視覚的に確認するために、各商品の売上高、売上総利益率及び商品回転率の関係を次の図のようなバブルチャートにして表した。この図を分析した内容として、適切なものはどれか。

ア “商品え”は、薄利多売で利益を上げている商品であり、利益を維持するためには品切れが起こらないよう商品管理に注意する必要がある。
イ “商品か”は、売上高は少ないが最も販売効率が良いので、現状維持でよい。
ウ “商品く”は、売上高は多くないが、余分な在庫が少なく、利益が大きいので、売上を増やす工夫をすれば効率よく利益の増加が図れる。
エ “商品こ”は、販売数量は少ないが価格の高い高級商品であり、幅広い顧客層を維持するためには大切な商品である。
解説と解答
バブルチャートはポートフォリオ図の一種であり、一定範囲の領域を用いて分布状況を示すと同時に、二つの項目間の相関関係も表します。バブルチャートを作成することによって、分布の状態をカテゴリに分けるのに役立てることができます。売上総利益率は、売上高に対する売上総利益の比率であり、その値が高いほど収益性が高いと言えます。
商品回転率は、売上高を平均在庫高で除算したものであり、その値が高いほど商品を効率よく販売している(平均在庫高が少ない)と言えます。
なお、このバブルチャートでは、売上高の多少を円(バブル)の大きさで表します。円が大きいほど売上高が多く、円が小さいほど売上高が少ないことを示しています。
以上を前提に、それぞれの選択肢を見ていきましょう。
選択肢アの記述について。“商品え”は、売上総利益率が高く、商品回転率が低い商品です。すなわち、利益は大きいものの、余分な在庫を抱え込みがちな商品なので、在庫管理を徹底し、なるべく余分な在庫をもたないように工夫します。したがって、「薄利多売で利益を上げている商品」ではないため、不適切な記述です。
選択肢イの記述について。“商品が”は、売上総利益率が低く、商品回転率も低い商品です。すなわち、最も販売効率が悪く利益の上がらない悪い商品です。したがって、「最も販売効率が良い」商品ではないため、不適切な記述です。
選択肢ウの記述について。“商品く”は、売上総利益率が高く、商品回転率も高い商品です。すなわち、最も販売効率が高く利益の上がる良い商品です。ただし、現状では売上高があまり多くないため、できるだけ売上を増やすように工夫することによって、効率よく利益の増加が図れます。従って適切な記述です。
選択肢エの記述について。“商品こ”は、売上総利益率が低いが、商品回転率は高い商品です。すなわち、利益はそれほど大きくないが、余分な在庫が少ない商品です。このような特徴をもつ商品は、「販売数量は多いものの、価格の低い商品」であることが多く、「販売数量は少ないが価格の高い高額商品」ではありません。
以上より正解は、選択肢ウです。
アプリケーションデザイナー 代表取締役