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 今回のテーマは、先輩の営業に同行するときの準備です。まずは、山田さんの様子を見ていきましょう。

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 元エンジニアの山田ひろしです。営業部に配属されて2週間が経ちました。テレアポを毎日やっていたおかげか、どうやら電話をすることにも慣れてきました。少し前の自分からは考えられないほどの進歩です。昨日も1日、テレアポをやっていましたが、相手につながれば、だいたい1%くらいの確率でアポイントが取れるようになってきました。五十嵐さんからは3%を目指せと言われています。

 商社ばかりに電話をかけていたので、だんだん商社の人が気にするポイントが分かってきました。明日は少しトークスクリプトを変えて、もっとアポイントが取れるように頑張りたいと思います。

 五十嵐さんが帰ってきました。今日は僕が1週間前にとったアポイント先への営業だったはずです。結果はどうだったかな?気になります。

 「五十嵐さん、結果はどうでしたか?」

 「雰囲気は良かったよ。相手の部長さんはかなり今度のシステム改修で悩んでいるみたいだった。うちの実績をくれってさ。今日の夜は提案書の作成だな。当て馬ではなさそうだから、気合が入るよ」

 「それは良かったですね、自分が電話したところからそんな話が出てきて、とても嬉しいです」

 「これは営業の醍醐味だね。この調子で行けば、もっと取れるよ」

 「ありがとうございます」

 「それはそうと、もう営業に来て2週間くらいになるんじゃないか、そろそろ営業同行してもらうよ」

 「営業同行…。五十嵐さんについてお客様先へ行くということですか」

 「そうだ。ちょうど明日、1件商談があるから、それに動向してほしいんだ。会社から近いから一緒にここから行こう。9時30分にここを出るから」

 「分かりました」

 「頼んだよ、それじゃ今日の夕方に、明日の営業の予習をするから、どんなことを予習しなければならないか、考えておいて」

 「はい。でも、何を予習したらいいんですか?全く分からないんですが」

 「今、全部教えてしまったら、山田さんの勉強にならないだろう。まずは自分で考えてみるんだ。明日は最初の訪問だ。僕もお客様の様子は分からない。そんなときはどうすればよいかな?きちんと、自分の頭で考えることをしないと、成長しないぞ」

 「はい。なんとかやってみます。」

 …とは言ったものの、何をすればよいのだろう?

 今回は営業準備についてです。営業準備は、とても重要な仕事です。特に、営業に慣れていないエンジニアであれば、営業の準備には相当の時間がかかるはずです。

【Tips7】営業の持ち物

 営業の持ち物を確認してみましょう。

・手帳(スケジュール記入用)
・筆記用具(ペンはできれば、立派なものを使うこと)
・ノート(手帳にメモを取る人がいますが、お勧めしません。ノートを持参する)
・自社の会社案内
・自社の実績が分かる資料(相手の会社に合わせて、カスタマイズしてある)
・自社のサービス案内(いわゆるチラシ)
・相手の担当者が喜びそうな情報(時事ネタ、競合他社情報など)
・相手の会社に関する情報(Webサイトのコピーなど)

 ポイントになるのは、「ノート」「自社の実績が分かる資料」「自社のサービス案内」「相手の担当者が喜びそうな情報」の四つです。

 ノートはできればきちんとしたものを使い、一枚一枚切り離して、後でスキャナで取り込めるようにできるようなものが最適です。ノートに書き込む情報としては、日付、相手の会社名、相手の担当者名、商談内容、次回の宿題などになります。ノートを取る行為自体が、営業する相手の信頼感を高めますので、「この人は本当によくメモするな」と思ってもらえるように、たくさんメモをとりましょう。

 自社の実績資料はとても大事です。何しろ、初めての相手であれば自分のことはほとんど知らないのです。怪しさを解消するために必ず自社の実績を持ち歩きましょう。自社の実績に当たる資料がなければ、自分で調べて作るくらいの意気込みが必要です。また、実績の情報も相手の会社と何の関係も無い情報であれば、全く意味がありません。相手が商社であれば商社の実績、相手が製造業であれば製造業の実績と、相手に合わせてカスタマイズする必要があります。システム開発に携わる人は、実績を重んじる人が多いので、この資料が一つあるだけでもずいぶんと営業のやりやすさが違います。

 自社のサービス案内はさらに重要です。相手の要望を聞かないと作れない、と言う人もいますが、それは、ある程度関係が深くなってからの話です。新規開拓をするエンジニアであれば、「サービス案内」が無いと自社の出来ることを知ってもらうことはほぼ不可能です。システムは形が無いため、その良さを伝えることは相当の営業の腕がなければいけないからです。初心者は格好を付けずチラシを持って行き、そのチラシを基に「実はこんなこともできます」「こういったカスタマイズも出来ます」と話をしましょう。

 最後に、相手の担当者が喜びそうな情報です。何でも構いませんが、あえて言えば中に「数字」が入ったものが良いでしょう。市場の伸び率、システムの導入者数、サービスの利用者数などです。どんどん担当者の好む数字を集めて、「使えるヤツだ」と思ってもらいましょう。

安達 裕哉(あだち ゆうや)
トーマツイノベーション シニアマネージャ
筑波大学大学院環境科学研究科修了後、大手コンサルティング会社を経てトーマツ イノベーション株式会社に入社。現在、主としてIT業界を対象にプロジェクトマネジメント、人事・教育制度構築などのコンサルティングに従事する。そのほかにもCOBIT、ITサービスマネジメント、情報セキュリティにおいても専門領域を持ち、コンサルティングをはじめとして、企業内研修・セミナー活動を積極的に行う。