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 IT(情報技術)ベンダーの営業担当者から面白い話を聞いたことがある。ベンダーにとってどういうお客が“おいしい”かという話である。その人物は営業実績も上げているとても優秀な営業担当者で、相手の気持ちのつかみ方がうまい。気をそらせない話し方もうまい。知識もあるし本質的な話ができる。営業担当者としての信念もある。

丸投げの客、うるさい客、そして賢い客

 その営業担当者が、顧客には3つのタイプがあると言っていた。

 1つ目のタイプは情報技術や情報システムの知識や理解があまりなく、ベンダーの言いなりや任せっきりにするお客である。モデルが古いハードウエアでも在庫ものでも買ってもらえるし、値引きは要求しても交渉は厳しくない。保守料なども言い値で契約してもらえる。ソフトウエア開発についても依存心が強いので、開発段階に入ってからの商談のコントロールもしやすい。

 顧客の要求が明確でないことも多い。「現行踏襲でシステム環境だけ更新したい」という丸投げ要求に沿って作業を始めてみたものの、作業が始まってから変更や認識違いが起こり、無駄な手戻りや余計なコスト負担が発生することがある。こうした要注意ポイントもあるが、総じておいしい顧客なのだそうだ。そういう顧客とは長い付き合いになっていることが多く、業務内容についても社内の情報システムについても情報を持っているので、リスクも読みやすいようだ。ただし新規顧客の場合はリスクが高く、ハードウエアはともかくとしてソフトウエア開発では赤字プロジェクトやトラブルになりがちなので、避けたい顧客だという。

 2つ目のタイプは少し「うるさ型」の顧客だ。それなりに知識もあり最新の情報もネットで調べていたりするが、マネジメント志向というよりは技術志向である。しかも表層的な知識に過ぎないから、核心を突く発言をするわけではなく、営業的には扱いやすいそうだ。言い方は悪いが「手玉に取られやすい」タイプなのだろう。このタイプのお客はベンダーがあまりリスクを被ることなく商談をまとめやすいので最もおいしいタイプだといわれる。任せっ切りのタイプ1よりも、リスク分担がしやすいのかも知れない。

 3つ目のタイプは手ごわい客だそうだ。発注者としてやるべきことをちゃんとやっている。あやふやなことを言えば必ず追及してくる。技術知識ばかりではなく情報業界の知識もある。発想が豊かでアイデアもあり、ベンダーには常にそれ以上のものを要求する。営業担当者を値踏みするような眼を持っている。対峙すると緊張感がある。契約も内容をしっかり確認して交渉も厳しい。ごまかしは効かない。わかりやすく言えば賢い客なのだ。賢い客は、営業担当者にとってはどう見てもおいしい客とは言えないだろう。しかし、最も大切にしなければならない顧客だというのだ。