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 月刊ビジネス誌『日経情報ストラテジー』と東京コンサルティングが共同で事務局を務める「オールジャパン競争力強化実行委員会」は、情報システムユーザー企業のCIO(最高情報責任者)が、情報システム提供企業に対して抱く疑問を「CIO公開質問状」として質問した。クラウドサービスを提供するIT(情報技術)ベンダー主要8社が公開質問状に回答した。本記事では、グーグル(米Googleの日本法人、東京都渋谷区)の藤井彰人エンタープライズ プロダクト マーケティング マネージャーが、「クラウド」に関する疑問に回答する。

質問1:「クラウド」の定義

Q:貴社における、対外的に公表している「クラウド」「クラウド・コンピューティング」の定義について確認したい。

A:インターネットを経由して受けるサービス全般。

 グーグルは、当社の電子メールサービスのGmail(ジーメール)を使ったり、写真編集・共有サービスのPicasa(ピカサ)を使ったり、他社ならソーシャル・ネットワーキング・サービスのmixi(ミクシィ)を使ったり、そういう形で、インターネット上からサービスを受けているものであれば基本的に「クラウド」だと定義している。

 他社の定義では、仮想化の延長線上にあるものだとか、サーバーの所在・保有がどうのこうのとか、データセンターでどうのこうのとか、そういうことが言われることがある。しかし、我々の認識は違っている。とても簡単に、インターネットを経由して受けるサービスを、すべてクラウドと言っている。ただし、インターネットを経由して受けるサービスであっても、リソースの制約を受けてスケーラブル(柔軟に拡張できる)ではないものは、クラウドとは呼べない。

 クラウド・コンピューティングと言えば、巨大なデータセンター専用ハードウエアと、これを支えるインフラ技術というところばかりが注目されるが、我々の考えは少し違う。クラウドならではのイノベーションがどこにあるのかというところにフォーカスしている。例えば、電子メールをやり取りする場合。2004年4月にジーメールが出るまで、電子メールという技術自体は「枯れた技術」だと思われていた。だが、ジーメールでは無料で1人1ギガバイト(当時、2010年2月時点では7ギガバイト、ギガは10億)分を使えるという大容量など、クラウドならではのイノベーション(革新)を起こせた。

 ジーメールやGoogle Apps(グーグル・アップス、法人向けのグループウエアサービス)を使えば、予算を作るための表計算データや、プレゼンテーションソフトのデータを世界中で共有して、関係者みんなで編集できる。従来のやり方では、多数の関係者が作成にかかわるこうしたデータは、全員がすぐに編集・閲覧できなかったり、だれがどう修正したか分からなくなったりする問題があった。何気ないことだが、これもクラウドならではのイノベーションだ。

質問2:他社に比べた優位点

Q:貴社が提供するクラウド関連サービスで、他社に比べて優れているのはどんな点か。

A:「クラウドならでは」のイノベーションを提供していること。

 先に述べたように、クラウドならではのイノベーションを提供しているのが一番の優位点だ。

 (グーグルは一般消費者向けサービスが主力だが)クラウドにコンシューマー(一般消費者)向け、エンタープライズ(法人)向けの区別はないと考えている。一般消費者と法人の要求事項は違うと言われるが、我々はそうは思わない。現実に、パソコンが登場した時に「こんな信頼性が低いものは法人ではとても使えない」と言われたが、今では企業内に普及している。通信プロトコルの「TCP/IP」もそうだった。

 コンシューマー向けの技術は、利用者の規模がある程度まで達した時に、エンタープライズのほうで使われるようになって、そこで磨かれて、また一般消費者向けに戻ってくるものだ。グーグルのコンシューマー向け技術を「エンタープライズ向けとは違う」と言って切り捨てると、痛い目に遭うのではないかと思う。

次回に続く


回答企業8社一覧


回答者:藤井彰人(ふじい あきひと)氏
グーグル エンタープライズ プロダクト マーケティング マネージャー
名古屋大学工学部情報工学科を卒業後、富士通を経て米サン・マイクロシステムズ入社。Java関連製品のテクニカル・プロダクト・マネジャー、プロダクトマーケティング本部長を経て、グーグル入社。現在は企業向け製品のマーケティングを担当。IPA(情報処理推進機構)「未踏IT人材発掘・育成事業」のプロジェクトマネージャーとしても活動している。

オールジャパン競争力強化実行委員会とは

 情報システムの有力ユーザー企業18社のCIO(最高情報責任者)およびCIO経験者で構成する組織。IT(情報技術)ベンダーに対して、CIOの率直な疑問を「CIO公開質問状」として発信する活動を展開。CIO側の疑問の理解と、ITベンダー側の改善努力を促し、IT活用を通じた日本企業の国際競争力向上につなげることを目指す。

 事務局は、月刊ビジネス誌『日経情報ストラテジー』編集部と、東京コンサルティング代表の石堂一成氏が共同で務める。それぞれ、CIOが参画する中立的な勉強会である「日経情報ストラテジー CIO倶楽部」と「CIOネットワーク・ジャパン」を主宰している。この2つのコミュニティーに所属するCIOを中心とする18社で委員会を構成する。

メンバー企業名(50音順):
旭化成、オムロン、オリックス、カシオ計算機、サントリーホールディングス、JFEスチール、新日本石油、住友電気工業、セブン&アイ・ホールディングス、損害保険ジャパン、電通、東京ガス、東芝、トヨタ自動車、パナソニック、富士ゼロックス、三菱ケミカルホールディングス、森永乳業