PR

テレビと携帯電話で同じアプリが動く

 Androidアプリケーションは仮想マシン上で動くため、多くのアプリでは移植の手間も発生しなかった。「動画配信を見るだけでなく、Androidでゲームができる、道路案内アプリケーションなどを使える、といった拡張性が得られた」(伊藤氏)という(写真5、写真6)。

写真5●Android携帯電話と同じゲームがセットトップ・ボックス上で動く
写真5●Android携帯電話と同じゲームがセットトップ・ボックス上で動く
[画像のクリックで拡大表示]
写真6●Android携帯電話上で動くゲーム
写真6●Android携帯電話上で動くゲーム
[画像のクリックで拡大表示]

TransferJetによる高速データ転送も

 HD動画を扱う機能と並び、このSTBの特徴となるのがTransferJetだ。近接高速転送のための新技術である。非接触で、最大560Mbps、実効375Mbpsと高速なデータ転送が可能で、動画像などを手軽に伝送する手段として期待されている。また、KDDIは推進団体であるTransferJetコンソーシアムに参加している。小型の機器にも搭載可能で、ソニーがコンパクト・デジタルカメラのオプション機能として製品化した。今後はTransferJetを搭載した携帯電話端末が登場する可能性もある。とはいえ、STBの開発時点では商用化の前の段階で利用実績が乏しく、このSTBの開発過程では苦労が多い部分だったという。

 TransferJetの利用イメージは、次のようになる。まずデジタルカメラや携帯電話端末で撮影した静止画像や動画像をインターネット上のサービスにアップロードすることを考える。この際、携帯電話網(3G)を使うのではなく、高速なインターネット回線がある自宅から行いたいというニーズが考えられる。ここで、STBに機器をタッチするだけで転送できれば、利用者にとってもケーブル接続などの面倒がなく便利だ。また、それとは逆に、自宅の高速回線で配信されたHD動画コンテンツを、携帯電話端末などに転送し、外出先で見る、といった利用法も考えられる。今回試作したSTBにTransferJetが搭載されているのは、こうした利用法を想定したためである。 

 試作したSTBでは、Android上の独自のUIを構築するのではなく、Androidの操作画面を表示する。Androidアプリケーションもインストールして利用可能である。Androidアプリのゲーム・コンテンツも利用できる。今回試作のSTBでは画面解像度をフルHD(1080p)の半分に相当する960×580画素としている。スマートフォンに比べ大きな画面だが、大半のAndroidアプリケーションは画面解像度に追従して動作する。

 今回のSTBの開発成果は「OESFにおいて、開発成果を公開していくかどうかを議論する」(伊藤氏)としている。「Googleがカバーしていない領域をやっている」(伊藤氏)。あるいはHD動画配信向けのAPI仕様と実装が日本から世界に広がるかもしれない。

開発負荷を軽減し新たなデバイスの出現を促す

 Androidは機器開発のスタイルをよりオープンな形に変えつつある。機器開発、サービス開発の分野に携わる開発者の立場から見ても、Androidは開発負荷を軽減することで新たなデバイスの出現を促し、新たな付加価値を創出するためのプラットフォームとして機能し始めていると言える。