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 KDDIは,総合的な通信事業者として各種の固定系サービスを提供している。ここでは固定系の注目サービスとして,固定電話,広域イーサネット,固定伝送インフラ,IPv6インターネットを取り上げる。

固定電話
レガシー系の問題で遅れたIP化

 KDDIの固定電話のIP化への取り組みを始めたのは,2005年と他社に比べて早かった。しかし,思わぬ障害で遅れることとなった。

 同社の移行シナリオは,2003年に運用を開始したCDNを利用し,中継交換機をSIPベースのクラス4ソフトスイッチに置き換えるというもの(図1)。当初の計画では,2007年度末(2008年3月まで)に完了する予定だった。

図1●ほぼ完了した固定電話のIP化<br>SIPベースのソフトスイッチ(SS)を使って,固定電話網のIP化を実現した。当初の計画では2008年3月までにIP化の作業を完了する予定だったが,一部のレガシー系通信が利用できなくなる問題が起こり,IP化が遅れていた。現在はソフトスイッチに改良を加えて問題を解決した。
図1●ほぼ完了した固定電話のIP化
SIPベースのソフトスイッチ(SS)を使って,固定電話網のIP化を実現した。当初の計画では2008年3月までにIP化の作業を完了する予定だったが,一部のレガシー系通信が利用できなくなる問題が起こり,IP化が遅れていた。現在はソフトスイッチに改良を加えて問題を解決した。
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 ところが,古い通信サービスが利用できなくなるという問題が発生したため,IP化は予定通りに進まなかった。ユーザーの中には,2400ボーといった古いモデムを使い続けている企業がある。しかもその仕様がITU-T標準ではないものもあったという。旧式モデムは,従来の電話交換網ではデータ通信が可能だったが,ソフトスイッチを通すと正しく通信できなくなるケースがあった。原因としては,VoIP化によって信号の波形やレベルが変化し,正しくデータを送れなくなるなどの問題があった。

 通信事業者の網内の作業で,ユーザーに影響が及ぶのは許されない。そこで約1年半をかけて,そうした通信もできるようにソフトスイッチを改良するなどした結果,ほぼ問題はなくなったという。現在,幹線網をCDNから統合IPネットワークに移行させるとともに,日本全国で交換機をソフトスイッチに巻き取っている。

 固定電話をIP化した次の段階は,IMSの導入である。具体的なスケジュールは決まっていないが,移動アクセス回線の移行と並行して作業を進める方針だ。「当社の場合,ネットワークのサイズは移動の方が大きい。IMS化の作業は移動の方が時間がかかるはず。先行する移動に固定側が徐々に追いついていく形にしたい」(KDDI)。

広域イーサネット
コアに機能を集約するWVS

 KDDIの広域イーサネット・サービスは,国内のシェア・トップだ。現在の主力は「KDDI Powered Ethernet」(PEN)だが,今注目を集めているのが,“トラフィックフリー”という機能を利用できる「KDDI Wide Area Virtual Switch」(WVS)である。

 トラフィックフリーは,同社が「クラウド時代のデータ・センター志向のサービス」と位置付けている。各拠点とデータ・センターの通信について,契約帯域を超えて物理回線の上限まで帯域を利用できる機能の名称である。WVSのインフラには,トラフィックフリー機能以外にも新しいサービスを実現する機能を容易に実装したり,耐障害性を高めたりする機能が搭載されている。

 WVSのインフラは,「EoE」と呼ばれる技術を採用している。PENでも使われているもので,その技術を継承した。さらに,PENにはないトラフィックフリーなどを実現する機能がイーサネット網に組み込まれている。

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