PR

 月刊ビジネス誌『日経情報ストラテジー』と東京コンサルティングが共同で事務局を務める「オールジャパン競争力強化実行委員会」は、情報システムユーザー企業のCIO(最高情報責任者)が、情報システム提供企業に対して抱く疑問を「CIO公開質問状」として質問した。クラウドサービスを提供するIT(情報技術)ベンダー主要8社が公開質問状に回答した。本記事では、NECの藤吉幸博・取締役執行役員常務が、「クラウド」に関する疑問に回答する。

質問1:「クラウド」の定義

Q:貴社における、対外的に公表している「クラウド」「クラウド・コンピューティング」の定義について確認したい。

A:標準化されたアウトソーシングの形態。

 多様な端末からネットワークを介して、IT(情報技術)をサービスとして利用するのがNECのクラウドサービスだ。これは、初期投資の抑制や、導入のスピードアップにつながる。

 ユーザー企業にとって従来のアウトソーシング(外部委託)と何が違うかというと、従来のアウトソーシングは「標準化」がされていない。クラウドサービスでは、アプリケーション・ミドルウエア・ハードウエアなどで、当社が用意した標準化されたITを使うということが重要だ。

 これとは別に、パブリック・クラウドとプライベート・クラウドという区別があると思う。今世の中でよく言われているクラウドは、米グーグル(関連記事)、アマゾン、セールスフォース・ドットコム(関連記事)などだが、これらは、パブリック・クラウドに当たる。NECは、どちらかと言えばプライベート・クラウドのほうに力を入れたいと考えている。基幹情報システムのクラウド化はまだこれからだろうが、NECとしてはこの領域に焦点を当ててやっていく。

質問2:他社に比べた優位点

Q:貴社が提供するクラウド関連サービスで、他社に比べて優れているのはどんな点か。

A:自社の基幹情報システムで実績がある。

 NECは自らクラウド環境で、NECグループ向けの財務・会計システムを構築した。これに伴うグローバルでのデータ統合・コードの標準化や間接業務プロセスの改革の効果も合わせて、2012年度までに間接部門コストを2割以上削減することを目標にしている。システムに関するコストもおおむね2割程度安くなる見込みだ。

 この本社ビルの1階に「クラウドプラザ」を開設し(関連記事)、この新システムのデモを公開している。もちろん、本物の会計データは公開できないので、模擬的なデータを使ってはいるが、クラウドとは何かを目に見える形で示している。「基幹系」で自社の実績があって外部に公開できるというのは、他社にはない優位点だと考えている。

 今のところ、クラウドの活用はCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)、「フロント系」を中心に進んでいる。NECはもちろん「フロント系」でもサービスを提供しているが、それ以外の基幹系に注力する考えだ。基幹系のクラウドサービスを打ち出したのは2009年7月で、他の大手ベンダーより先行したという自負がある。「基幹系」にも色々あるが、会計・財務・人事など、ある程度どの企業にも共通する部分から始めている。それ以外の、企業独自の「戦略的」な部分、具体的には、生産管理システムなどの分野は、まだクラウドという形にするのは早いと思っている。

次回に続く


回答企業8社一覧


回答者:藤吉幸博(ふじよし ゆきひろ)氏
NEC 取締役 執行役員常務
1972年NEC入社。2004年MCシステム事業本部長。2005年執行役員兼MCシステム事業本部長。2006年執行役員兼OMCS事業本部長。2008年執行役員常務。2009年取締役執行役員常務に就任し、現在に至る。

オールジャパン競争力強化実行委員会とは

 情報システムの有力ユーザー企業18社のCIO(最高情報責任者)およびCIO経験者で構成する組織。IT(情報技術)ベンダーに対して、CIOの率直な疑問を「CIO公開質問状」として発信する活動を展開。CIO側の疑問の理解と、ITベンダー側の改善努力を促し、IT活用を通じた日本企業の国際競争力向上につなげることを目指す。

 事務局は、月刊ビジネス誌『日経情報ストラテジー』編集部と、東京コンサルティング代表の石堂一成氏が共同で務める。それぞれ、CIOが参画する中立的な勉強会である「日経情報ストラテジー CIO倶楽部」と「CIOネットワーク・ジャパン」を主宰している。この2つのコミュニティーに所属するCIOを中心とする18社で委員会を構成する。

メンバー企業名(50音順):
旭化成、オムロン、オリックス、カシオ計算機、サントリーホールディングス、JFEスチール、新日本石油、住友電気工業、セブン&アイ・ホールディングス、損害保険ジャパン、電通、東京ガス、東芝、トヨタ自動車、パナソニック、富士ゼロックス、三菱ケミカルホールディングス、森永乳業