ソフトウエア編:iPhoneに追いつくべく使用感を大幅に改善
ベンチマーク
全体的な印象としては,HT-03Aと比べて,明らかにきびきび,かつスムーズに動くようになった。
これを数値的に調べるために,ラスターワークス社のベンチマーク・アプリケーション「SmartPhoneBench」を使用しHT-03Aと比較してみた。体感では確実にNexus Oneが速いが,描画ベンチマークの数値は大きな差が出なかった。これは描画のリフレッシュ・レートが60Hzであるためと推測される。CPUの速度はクロック(Nexus Oneは1GHz,HT-03Aは384MHz)に比例し,FPUはARMコアの世代に依存している(Nexus OneはARMv7-AベースのSnapDragon,HT-03AはARMv6ベースのARM11)。
  | Nexus One | HT-03A |
---|---|---|
解像度 | 800x480 | 480x320 |
文字列描画 | 60回/sec | 60回/sec |
点描画 | 60回/sec | 60回/sec |
ライン描画 | 60回/sec | 60回/sec |
ポリゴン描画 | 56回/sec | 49回/sec |
PNG描画 | 59回/sec | 60回/sec |
透過PNG描画 | 59回/sec | 59回/sec |
3D texture | 58fps | 62fps |
CPU | 23528 | 9507 |
FPU | 365333 | 16358 |
ファイル書き込み | 2,245Mbyte/s | 2.149Mbyte/s |
ファイル読み込み | 149.796Mbyte/s | 65.536Mbyte/s |
Nexus Oneでは,Androidのバージョンは2.1。HT-03Aが1.6であり,モトローラのDROIDが2.0である。このバージョンの違いがそのまま端末の機能の差となって現れていることが確認できた。2.1は2.0のマイナー・バージョンアップであるため,あまり大きな変更はない印象だ。以下では1.6から2.0への変更点,2.0から2.1への変更点を順番に見てみる。また,評価中にNexus Oneのファームウエアのアップデートがあったので,それについても調べてみた。
Android 1.6から2.0/2.1への進化
バージョン1.6から2.0では,新規実装された機能としてマルチ・アカウントがある。これはGmailなどに使うGoogleアカウントと米マイクロソフトのExchangeを複数登録できるものだ(写真8)。Gmailのメール・クライアントでは,複数のメールが一つの画面で確認できるように拡張されている。
新機能ではないが,バージョン1.6から(1)Webブラウザ,(2)Exchangeサポート,(3)3D画像フレームワーク,(4)Bluetooth V2.1サポート,(5)マルチタッチ,(6)カメラ・アプリ,(7)Quick Contact,(8)YouTubeアプリ,(9)Car Homeなどが拡張されている。
(1)WebブラウザではHTML5に対応したほか,ダブルタップでズームするといったUI部分の変更がされている。(3)の3D画像フレームワークではOpenGL ES2.0に新たに対応して,高度なグラフィックスが実現できるようになった。(4)のBluetooth V2.1では名刺や電話帳を送信するOPP(Object Push Profile)と電話帳にアクセスするPBAP(Phone Book Access Profile)が組み込まれた。
(5)マルチタッチはiPhoneと同様に二つの指を使って拡大縮小などができる機能。ただし,APIでは用意されているものの,当初はアプリケーションで対応していなかった(詳細は後述するが,現在はバージョン・アップによって一部アプリが対応)。(6)のカメラ・アプリではフラッシュやデジタル・ズームが可能になったほか,画像にエフェクトをかけられるような拡張がされている(写真9)。
(7)のQuick Contactは登録されたユーザーに関連付けられた連絡手段にポップアップから素早くアクセスできる機能(写真10)。例えば,顔写真の上に,通話/SMS/Gmailといった連絡手段を表示できる。(8)のYouTubeでは映像を撮ってそのままアップロードする機能が追加されている。(9)のCar Homeはカー・ナビゲーション・システム相当の機能にすぐにアクセスできるランチャ画面である(写真11)。