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ファシリティマネジメントの視点とは?

 ファシリティマネジメント(通称:FM)という経営概念がある。ファシリティマネジメント推進連絡協議会編の解説書である『総解説 ファシリティマネジメント』『総解説 ファシリティマネジメント 追補版』(日本経済新聞出版社)には、「ファシリティマネジメントは、施設とその環境を効率的に活用し最大の効用をもたらす、効率経営や付加価値経営にとって不可欠な経営活動である」と記されている。そして「施設とその環境」とは人が働く場(ワークプレイス)を指し、People、Process、Placeの3Pを、経営目的達成のために総合的に調整し、ベストプラクティスを求めることだと解説されている。

 私は総合建設会社に勤務していた。ファシリティマネジメントを顧客にサービスする部署が社内にあったし、話題に触れることも多かったからこの概念は理解していた。社内でFMの資格試験のための研修もあったが、私が建築部門ではなく土木部門に所属していたこともあって、比較的なじみは薄かった。

 私がシステム部門の責任者になり、情報システムの再構築が一段落したころ、ファシリティマネジメントと「情報通信技術を利活用するワークスタイル」とが密接な関係にあることを知って、興味を覚え学習を始めた。学習のついでに資格試験も受け、ファシリティマネジャーの認定も受けた。民間資格ではあるが米国のIFMA(International Facility Management Association)とも相互認証をしている。

職場の快適性・生産性を左右するIT

 快適なワークプレイスを構築することに情報通信技術は欠かせない。ファシリティマネジメントには事務所の効率的な活用やワークスペースのゾーニング、ハードウエアとしての情報インフラの整備ばかりでなく、情報活用のためのレコードマネジメント(記録管理のことを指し、過去情報のファイリングや文書管理など統合的に扱う)やワークスタイルの最適化までも包含しているのである。また快適性や生産性、利用者満足度の評価など、利用者視点が重視されることも特徴である。

 情報システムの作り手の視野になってしまうと、個別の技術やパフォーマンスに気を奪われて、利活用の場面さえ忘れがちである。それがシステム開発を目的化してしまう視野狭窄(しやきょうさく)を起こさせる。そうなると、個別最適のコスト削減が精一杯になる。

 情報システムにかかわる人には、ファシリティマネジメントの学習をすることを勧めたい。経営要素の一部として、また企業活動をする人のための環境として情報インフラや情報システムをとらえることができるので視野が変わる。この視野はより俯瞰(ふかん)的に経営とITを考えることに役立つ。

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