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 日本テレビ放送網は、ヤフー(Yahoo! JAPAN)が運営する「Yahoo!テレビ.Gガイド」に対して、「日テレ公式情報」の配信を2009年12月24日に始めた。電子番組情報は配信業者を通しても提供してきたが、日本テレビは他局に先駆けてYahoo! JAPANに直接の情報配信を始めたことになる。その狙いについて、同社の編成局デジタルコンテンツセンター デジタル制作部長の若井真介氏らに聞いた。主眼は、「検索視聴時代に備える」ということにあるという。またいわゆる番組放映の内容をログ情報として提供する動きが活発化しているが、こうした動きにも一石を投じることになりそうだ。

番組関連のメタデータ集約の成果

 現在、電子番組案内(EPG)の情報は、放送波にデータが多重された形で送信されてくる。しかし、電波を使う以上は、伝送容量の制限があり、文字数や表現手法(写真を使用できないなど)にも限界があり、リンクができないなど様々な制約が課せられている。この現状に対してもう1歩踏み込んで、何かできないかトライしたい、というのがそもそもの原点という。新聞のラテ欄の閲読が横ばいなのに対し、ヤフーの番組欄の閲覧は増えている。また「特に若い世代を中心にして、検索して視聴するというスタイルが始まりつつある」という。インターネットの電子番組表へ積極的に番組情報を提供することで、こうした時代の変化に対応していきたいという考えである。

 日本テレビでは元々、番組情報を一元的に扱える体制を構築しようという社内的なプロジェクトとして「MAM」(メディア アセット マネジメント)をスタートさせていた。テレビ局には、映像アーカイブに加えて、映像に関連する様々な情報、例えば出演タレント、あらすじ、原作…など各種の関連情報がある。ただし、こうした情報は、紙やデータの形でバラバラに存在するのではなんら価値を生まない。一つにまとめて整理することで、何か新しい活用をできないか、という発想である。現在「日テレペディア」として番組関連メタデータの集約を進めており、いまはまだその途上と説明するが、公式情報の提供はその成果の一環である。

 実際に「Yahoo!テレビ.Gガイド」を見ても、一目で、明らかに内容の充実度が従来配信業者を通して提供してきたものを上回っていると感じさせられる。日テレ公式情報は、日本テレビの詳細な番組情報およびプロモーション画像などから構成されている。従来からの番組の概要説明に加え、各回のみどころ紹介やプローモーション画像の提供、プレゼント告知などを見ることができるという構成である。この結果、まずインターネットの電子番組表を見る層へのアピール度は増す。表現手法も、どんどん高度化されそうだ。例えば、現行は静止画になっている部分をテレビ局が持つ「予告動画」にすれば、より興味を引く番組情報になる。予告動画も、基本的に既存のものを使える。まもなく始めるという。

 検索視聴に対応するには、できるだけたくさんの情報を提示したほうが、検索にかかる率は向上する。詳しい情報提供によって、検索にひっかかる可能性が上がるという効果も期待できる。

勝手メタデータの提供の動きに一石

 番組の放映後に、その内容について番組を見て手作業で記録したものが、いわゆる勝手メタデータである。登場の背景には、インターネット上の話題も元をたどれば、圧倒的にテレビ放送だという現実がある。例えば、「あの番組で紹介された、あのお店は…、あの商品は…」など検索したくなったとき、勝手メタデータとして店や商品の名前を記載した情報を提供すると、視聴者による検索のキッカケになり便利という発想である。そして、必要なリンクの提供も始まっている。ただし、これらの内容は、放送事業者は関知するものではない。本来、放送事業者の放映した番組の内容であり、放送事業者としては忸怩たる思いもあったはずだ。

 もっとも、放送事業者は当然だが番組の内容は知っており、しっかりとした内容を提示できる。また、放映した責任もあり、視聴者からの問い合わせに対応するための情報もある。これもメタデータとしてMAMに取り込む体制ができているという。また「日テレ公式情報」からは、番組ホームページの他、番組に関連した商品の通販サイトへ簡単に移動できる仕組みを用意する計画である。番組の放映後に放送事業者が自ら情報を提供する動きは、今後の放送とインターネットの関係つくりの大きなカギになるだろう。