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 月刊ビジネス誌『日経情報ストラテジー』と東京コンサルティングが共同で事務局を務める「オールジャパン競争力強化実行委員会」は、情報システムユーザー企業のCIO(最高情報責任者)が、情報システム提供企業に対して抱く疑問を「CIO公開質問状」として質問した。クラウドサービスを提供するIT(情報技術)ベンダー主要8社が公開質問状に回答した。本記事では、マイクロソフトの大場章弘・執行役デベロッパー&プラットフォーム統括本部長が、「クラウド」に関する疑問に回答する。

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質問3:情報保護・保証の考え方

Q:顧客企業のデータの保護・セキュリティーをどのように確保しているか。万が一の事故の場合の保証についてどう考えているか。

A:99.9%の稼働率を保証し、トラブル時は返金。データセンターは安全な場所に設置。

 BPOS(Business Productivity Online Suite、グループウエアなどオフィス向けパッケージソフトのクラウド版)では、顧客企業とSLA(サービス・レベル・アグリーメント)を結んで、99.9%の稼働率を保証している。これに満たない事態が発生すれば、当社が料金を返金するという規定になっている。

 当社が運営するBPOSのデータセンターでは、随時パッチを当てたり、定期的なセキュリティー監査をしたり、サーバーを冗長化したり、様々な対策をとっている。企業が自社にサーバーを設置して手作業で運用するよりも安全性は高いはずだ。

 日本からの利用の場合は、原則としてシンガポールにある当社のデータセンターを利用し、現地の法令に従う形になる。どこの国にデータが存在するのかが分からないのに比べれば、様々なトラブルに対応しやすいはずだ。(編注:他社のクラウド型サービスではデータセンターの所在を顧客に開示しないケースがある。その場合、規制が厳しい国に存在するデータを当局など第三者に検閲されるなど様々なリスクがある)

 しかもBPOSは、10年以上にわたって企業市場で使われてきたExchange Serverなど、当社の既存製品をクラウドに持っていくことを原則にしている。長年にわたる利用実績で信頼性・安全性が高まったものをクラウド環境で使える点は、当社の特徴だと考えている。

 ちなみに、Azure(アジュール、システム基盤のクラウド版)については、少し保証の枠組みが異なり、条件によって99.9%~99.95%の稼働率を保証している。

質問4:標準化・オープン性確保の考え方

Q:クラウド業界の標準化・オープン性確保についてどのように考えているか。

A:自社技術にこだわらず、Java、Rubyなどからもアクセス可能にするよう努めたい。

 マイクロソフトは、C#やVisual Basicなどを使って効率的にアプリケーションを開発できるVisual Studioなどのソフトウエア開発環境を持っている。もちろんクラウドの世界でも、これらを第1にサポートする。

 ただし、これ以外にも世の中にはJavaやPython、Rubyなど“オープンソース的”な言語がある。これらの環境からAzureを利用できるようにする仕組みを既に用意している。今後も、様々な言語やWeb上の標準技術にきちんと準拠していくよう、企業として努力していくつもりだ。

質問5:ユーザー企業に伝えたいこと

Q:ユーザー企業に伝えたいことは。

A:クラウドをコスト削減という視点だけで見ないでほしい。

 クラウドをコスト削減という視点だけで見ないで、次のビジネスの一歩として考えていただきたい。クラウドを使って企業の変化を加速させる方策はないかと。いかに活用できるかという攻めの姿勢で見れば、面白いアイデアが出てくるはずだ。企業を支えるITにクラウドを使わなければ、と考えるのでは発想が狭まる。

 クラウドについて議論するときには、どうしてもコスト削減や運用・保守効率化の視点になりがちだ。もちろんそれも重要だが、クラウドのメリットを享受するのは、情報システム部門だけではなく、ソフトウエアの開発者と、実際に使うエンドユーザーを加えた3者であるはずだ。この3つの視点でクラウドをとらえていただけるとありがたい。


回答企業8社一覧


回答者:大場章弘(おおば あきひろ)氏
マイクロソフト 執行役 デベロッパー&プラットフォーム統括本部長
1987年日本IBM入社。1991年マイクロソフト入社。エンタープライズソリューション本部長などを経て、2003年業務執行役員エンタープライズサーバービジネス本部長。2004年米マイクロソフト赴任。その後日本法人の業務執行役員プラットフォーム戦略本部長、同Windows本部長を経て、2008年7月から執行役デベロッパー&プラットフォーム統括本部長。

オールジャパン競争力強化実行委員会とは

 情報システムの有力ユーザー企業18社のCIO(最高情報責任者)およびCIO経験者で構成する組織。IT(情報技術)ベンダーに対して、CIOの率直な疑問を「CIO公開質問状」として発信する活動を展開。CIO側の疑問の理解と、ITベンダー側の改善努力を促し、IT活用を通じた日本企業の国際競争力向上につなげることを目指す。

 事務局は、月刊ビジネス誌『日経情報ストラテジー』編集部と、東京コンサルティング代表の石堂一成氏が共同で務める。それぞれ、CIOが参画する中立的な勉強会である「日経情報ストラテジー CIO倶楽部」と「CIOネットワーク・ジャパン」を主宰している。この2つのコミュニティーに所属するCIOを中心とする18社で委員会を構成する。

メンバー企業名(50音順):
旭化成、オムロン、オリックス、カシオ計算機、サントリーホールディングス、JFEスチール、新日本石油、住友電気工業、セブン&アイ・ホールディングス、損害保険ジャパン、電通、東京ガス、東芝、トヨタ自動車、パナソニック、富士ゼロックス、三菱ケミカルホールディングス、森永乳業