まずは標準化に着手

写真?システム統合プロジェクトの主要メンバー
写真●システム統合プロジェクトの主要メンバー
前列左から2人めがCIOを務める森忠嗣 取締役執行役員、同3人めが野田雄三システム企画室長

 メンバーはプロジェクトの正式開始と前後して、システム基盤に関する標準化作業に取りかかった。サーバー機やストレージ機の標準構成、仮想化ソフトの設定やサーバーを仮想化する手順、SANストレージへのデータ移行方式やバックアップ方式、機器の発注や設置の手順、定期点検や運用の手順などだ。一連の標準化や環境構築は年度末の08年3月にかけて実施した(図4)。

図4●システム統合プロジェクトのスケジュール
図4●システム統合プロジェクトのスケジュール
基盤整備を先行させていたおかげで、阪神百貨店とのシステム統合による開発量の増大を乗り越えることができた
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 基盤設計作業が進むにつれて、業務のフィット&ギャップ分析や業務プロセスのすり合わせといった作業を本格化させた。阪急への片寄せが基本方針だが、阪急百貨店と阪神百貨店の店舗とブランドはそのまま残る。「顧客サービスの質を落とすことは許されない。ファッションの阪急、食品の阪神というイメージを生かして、いい仕組みは残した」(森取締役)。

 並行してデータセンターへのサーバー設置やネットワークの構築を開始。新年度に入った08年4月から作業は本格化した。作業手順の標準化を徹底していたこともあって、「一気呵成」(野田室長)の基盤構築作業は予定通り08年8月にほぼ完了した。各社の旧基幹システムを動かしていたNECと富士通のメインフレームは廃棄する予定だ。

基盤整備、「やっててよかった」

 結果的にプロジェクトは目立った遅れなしに進み、「最後までメンバーの士気が下がることはなかった」(野田室長)。綿密な進捗管理や参加企業間の明確な役割分担など、いくつもの成功要因があるが、メンバーは一様にシステム基盤構築が先行した利点を強調する。データ量やサーバー処理能力などのサイジング作業を省略できたためだ。「基盤に関することを考えずに済んだため、業務系の作業に集中できた。システム基盤がなかったらどうなっていたか、考えたくもない」(米田嘉之システム企画室グループ基盤担当部長)。

 9月半ばに稼働判定を完了。10月1日の百貨店合併時には前もって統合済みの会計・人事などのバックエンド業務系を、11月1日にはPOSなどの店舗系を、それぞれ稼働させた。店舗系の稼働を1カ月ずらしたのは、プロ野球 阪神タイガースの優勝を当て込み、記念セールの混雑を避けるためだった。残念ながら取り越し苦労に終わってしまったが、システム自体は問題なく稼働した。

 「基盤構築を進めていたからこそ、急な経営統合にも対応できた」と野田室長は振り返る。しかし感慨に浸る間はない。メンバーの前には高島屋とのシステム統合というさらに高い山が控えている。