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 クラウド時代になれば、IT資産を自社で所有する必要性が薄れ、手間もコストも削減できる─。

 インターネット経由でITリソースを利用するクラウドコンピューティングの普及を目の前にして、このような将来像を描く経営者や情報システム部門の担当者は多いだろう。なかでも、手軽に使えるサービスとしてSaaSに注目する企業は多い。しかしSaaSは本当に安く、かつ便利なのだろうか。

 これを検証するには二つの観点からの分析が必要だ。一つはSaaSごとの料金差だ。ユーザー企業は自社の業務に最も合致したSaaSでありながら、できるだけ安価なサービスを選択したい。そこで今回、主要43社が提供する78サービスについてサービス内容の概略と料金を徹底調査した。その結果、同じカテゴリーのSaaSながら、料金差が10倍以上というケースもあることが判明した。もちろん料金なりにサービス内容は異なるが、安易にサービスを選択するとシステムコストを大きく左右することになる。

 もう一つは月額料金を並べただけの料金表からは見えてこない初期費用だ。SaaSであってもパッケージソフトと同様、自社業務に合わせたカスタマイズが必要になる。特に業務と密接にかかわるSFA(営業支援)やERP(統合基幹業務システム)では、情報の閲覧・入力画面やデータテーブルは企業ごとに異なるものにならざるを得ない。既存システムとの連携が必要になるケースもある。こうしたSI(システムインテグレーション)費用が、実際のSaaSの“総利用コスト”を大きく変動させる。

 加えて、従来のパッケージソフトとSaaSでは導入工程や工程ごとの作業に差異がある。当然、その違いはSI費にも影響する。こうしたSaaS導入にかかわる“新常識”を知らないと、SaaSを検討するに当たってのコスト試算すらできないということになる。そこでSaaS事業者やSaaSの導入支援を手掛けるITサービス企業に「SaaS導入の実際」を取材。本来ならば非公表の“隠れた”初期費用についても、できる限りの情報入手を試みた。

 今回は情報系ではグループウエアと営業支援、基幹系ではERP/会計、人事/教育を取り上げる。業務アプリケーションのなかでも、多くの企業が利用するものだからだ。SaaS導入で必要になる「実際のコスト」の把握に活用していただきたい。