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 イー・アクセスやKDDI、ソフトバンクグループなど10社以上の通信事業者らは連名で、NTT東西地域会社が2009年12月9日に総務省に申請した「実際費用方式に基づく平成22年度接続料のメタル回線などレガシー系サービスの接続料」について、算定ルールの見直しなどを求める総務大臣宛ての要望書を、2010年1月14日と2月26日の2回提出した。関係者によると今回2回に渡って要望書を提出した背景には、NTT東西のメタル回線に接続する事業者側のサービス継続や今後の展開に対する危機感があったという。

 今回、接続事業者側が連名で要望書を提出するきっかけとなったのは、NTT東西が総務省に申請した2010年度のメタル回線の接続料金案の内容だった。この接続料金案には、2009年度と比較して値下げになる項目と値上げになる項目の両方が含まれる中、ADSL(非対称デジタル加入者線)や固定電話サービスを提供する接続事業者に影響の大きい「ドライカッパ(タイプ1-1)」の接続料が大きく値上がり、目を引いた。具体的には、NTT東日本が月額1416円(2009年度比で93円増、7.0%増、以下同じ)、NTT西日本が月額1410円(32円増、2.3%増)の値上げを申請していた。

 KDDIが提供するメタルプラス電話の基本料金は月額1400円(税別)から、ソフトバンクテレコムが提供するおとくラインの基本料金は月額1350円(税別)からであり、「NTT東西が申請した接続料金案では、地域によっては原価割れとなる」(ソフトバンクテレコムの弓削哲也専務取締役専務執行役員)という。また、今後FTTH(ファイバー・ツー・ザ・ホーム)サービスの普及が進むにつれてドライカッパの利用者が少なくなることを前提とすれば、「現在の接続料算定ルールではドライカッパの接続料金が年々高くなる」(KDDIの岸田隆司渉外部企画グループリーダー)状況だ。

 こうした状況が続けば、事業の縮小や類似サービスへの切り替えといった対策を考える必要が出てくるが「NTT東西自身がPSTN(加入電話網)を今後どうIP網へ移行するかというスケジュールがはっきりしないと、検討も難しい」(イー・アクセスの大橋功企画本部本部長)という。

 こうした理由から、接続事業者側が2010年1月14日に14社の連名で総務大臣宛てに提出した要望書では、「接続料算定方法の抜本的な見直し」「PSTN網展開スケジュールの早期公開」「算定方法を見直す間の接続料の維持・凍結」の3点を求めた。

 総務省は2009年12月中旬から2010年2月上旬にかけて、2回にわたってメタル回線接続料の改定に関する意見募集を行い、ここでも各接続事業者が要望書同様の意見を提出した。情報通信行政・郵政行政審議会は2010年2月22日、NTT東西の申請に対して一部算定をやり直すことを前提に認可する方針を示した。またNTT東西に対して、接続料算定のあり方について検討を行うことと、PSTNからIP網への移行について必要な情報の早期かつ積極的な開示を行うよう求めた。

 この時点で、最初の要望書で接続事業者側が求めた要求三つのうち、「接続料算定方法の抜本的な見直し」と「加入電話網(PSTN)展開スケジュールの早期公開」の二つに関しては、情報通信行政・郵政行政審議会の答申に盛り込まれたことになる。しかし、三つ目の要望である「接続料の維持・凍結」については盛り込まれなかったことから、接続事業者側は2月26日に改めて2010年度の接続料の値上げ凍結を求める要望書を、19社連名で提出した。

 総務省は2010年3月3日、NTT東西から2010年度接続料の再算定と補正の申請を受けて、認可する方針を示した。再算定の結果、ドライカッパ(タイプ1-1)の接続料は、NTT東日本が月額1394円(2009年度比71円増、当初申請比22円減)、NTT西日本が月額1391円(2009年度比13円増、当初申請比19円減)となった。

 意見や要望の提出で、接続料の再算定まで持ち込んだことに対する接続事業者側の評価は、事業者が要望書の中でもどこを重視するかによって分かれるようだ。イー・アクセスは、審議会の答申に接続料算定基準の見直しと加入電話網スケジュール公開の要素が盛り込まれたことには一定の評価をしており、今後の算定基準の見直しに期待する。一方でソフトバンクテレコムは「今回の値下げは想定できた範囲に留まる。答申の結果NTTからPSTNの概括的展望が早く出てくるかどうかも分からない」とし、接続料の凍結も含めて引き続き問題提起を続ける方針である。