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アビームコンサルティング
シニアコンサルタント
菊本 善夫

 昨今のIFRS(国際会計基準)への関心の高まりを背景として、IFRSに関する情報はあふれ返っています。グーグルで「IFRS」を検索すると、ヒット数は400万件を超えますし、数多くのIFRS解説書が出版されています。

 こうしたWebや雑誌、書籍から得られる情報はもちろん有用ですが、これらの情報の根底にある“原典”に触れることにも大きな意味があります。IFRSの原典に当たるのは「基準書」です。IFRSはIAS/IFRSという会計基準と、SIC/IFRICという解釈指針から成る会計基準の総称であり、基準書はこれらの会計基準と解釈指針のすべてを網羅したものです。

 IFRS基準書を読むことで得られる最大のメリットは、自分の知識に確信を持てるようになることです。基準書は、IFRSにかかわる解釈やその他の様々な情報の原典です。基準書を基礎とすれば、資料を作成する、上司に報告する、関係者と議論する、といったIFRS対応にかかわる様々な場面で自信を持って臨むことができます。

 例えば資料によっては、ある定めが必ず準拠すべきものなのか、選択可能なものなのか、単なる例示なのかといったことをあいまいに記述しているケースがあります。こうした場合は、基準書で確認しておくことが有用です。

 基準書に定めがあるかないかを確かめることも有用です。基準書に定めがない項目は自社内でのルール作りを必要とする場合が多いからです。

 とはいえ、基準書の実物を見たことがあるなら「あれを読まなければいけないのか…」と思われるかもしれません。2009年12月に基準書の日本語版が出版されました(「国際財務報告基準(IFRS)2009」(中央経済社))。何とボリュームは2500ページを超えています。

 しかも、IFRSをこれから学ぼうとする人にとっては見慣れない用語が多く、文章の言い回しも難解に感じられます。自分が知りたいことがどこに書いてあるかを探すだけでも一苦労です。

 この連載では、会計の専門家ではない人たちにIFRS基準書を少しでも身近に感じてもらい、効率よく学んでいけるように、基準書の読み解き方の基本を説明していきます。第1回では基準書を読むに当たり、ぜひ知っておきたい重要概念である「実質優先」と「資産負債アプローチ」を紹介します()。

図●IFRS基準を学ぶに当たり、押さえておきたい重要な概念
図●IFRS基準を学ぶに当たり、押さえておきたい重要な概念

 これら二つの概念は、IFRSの多くの規定で具体化されています。基準書を読む前に、ここを押さえておくことで、その後の学習を効率化できると思います。