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KDDIは,広域ネットワーク・サービス「KDDI Wide Area Virtual Switch」(KDDI WVS)の機能を2010年5月に大幅拡張する。ストレージ・サービスやルーター機能が新たに加わり,企業内やデータ・センターで運用していた機能を網内に集約できる。TCO(総所有コスト)を削減しやすくなるほか,運用の柔軟性も増す。

 KDDI WVSが「STEP2」に進化する。KDDI WVSとは,クラウド型サービスを利用できる環境の構築を主眼に置いた広域ネットワーク・サービスで,KDDIが2009年7月に始めた。同社は,KDDI WVSで提供してきた従来の機能を「STEP1」と呼んでおり,今回,新たにSTEP2機能を追加する(図1)。

図1●柔軟性が高く多機能な網に進化<br>KDDI WVSの主な機能をまとめた。STEP2では「Virtualデータセンター」によって網内でストレージ・サービスなどを利用できるようになったほか,「宅内ルータレス」などユーザーの管理負荷を軽減する機能を追加した。
図1●柔軟性が高く多機能な網に進化
KDDI WVSの主な機能をまとめた。STEP2では「Virtualデータセンター」によって網内でストレージ・サービスなどを利用できるようになったほか,「宅内ルータレス」などユーザーの管理負荷を軽減する機能を追加した。
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 STEP1では,データ・センターとの快適な通信環境を整える機能に重点を置いていた。一方,「STEP2ではクラウドの機能を網の中に取り込む」(小林昌宏ソリューション商品企画本部長)。具体的には,ファイル・サーバー,ファイアウォール,ルーター機能など,従来は企業の拠点で運用していたシステム/ネットワークのコア機能を網内に移行できるようにする。これによりユーザー企業は,通信料や管理コストを削減できるほか,業務の体制に合わせた柔軟な運用が実現する。

接続料が不要な仮想データ・センター

 中でも,(1)網内にデータ・センター機能を取り込んだ「Virtualデータセンター」,(2)網内でユーザー宅のルーター機能を提供する「宅内ルータレス」,(3)網内で自由自在にVLAN(バーチャルLAN)を使えるようにする「VLAN制御」,「L2/L3マルチレイヤ」の3点がポイントである。

 まず,通信コストの削減効果を期待できるのが,(1)のVirtualデータセンターだ。ここで言う“Virtual”とは,あたかも網の中にデータ・センターが存在しているように見えることを指す。実際の設備は一般的なデータ・センターと変わらないが,KDDI WVS網と広帯域回線で“直結”しており,一体的なサービスとして提供する。

 ユーザーにとって有利なことは,Virtualデータセンターとの網内接続費用がかからないこと。通常のデータ・センターを利用する場合は,網とデータ・センターをつなぐアクセス回線の通信料を支払う必要があるが,その費用が不要というわけだ。

 網内接続の料金が無料にもかかわらず,利用できる帯域は通常のデータ・センターに接続する場合と変わらない。Virtualデータセンターにアクセスする拠点が「トラフィックフリー」回線を選択している場合は,物理インタフェースの最大帯域で通信できる。

 トラフィックフリーとは,拠点とKDDIの提携データ・センター間の通信で契約帯域を超えて物理回線の最大帯域まで使える機能のこと。契約帯域が同じなら,従来の閉域網サービスと比べて月額料金は同程度となる。費用対効果の高さで注目を集めたSTEP1の代表的な機能である。

 KDDIによると,大量のユーザーがトラフィックフリーで同時アクセスしても輻そうが生じないよう,網とVirtualデータセンターをつなぐ回線には十分な帯域を確保しているという。

 当面,Virtualデータセンターで提供するサービスは,ファイル・サーバーのホスティングとインターネット接続機能の2種類である。