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 クラウドコンピューティングが注目を集めている。だが、企業情報システムを安心して委ねられるだけの基盤になるためには、クラウドを実現するテクノロジと、クラウドから生まれるサービスの双方が歩調を合わせ、社会のニーズに応えなければならない。両者の間にある“素敵な関係”について、日本発でクラウドビジネスに臨むブランドダイアログの二人の取締役が解説する。今回は、柳沢貴志 常務取締役 兼 コンサルティング本部長が、クラウドテクノロジが生む、これからのサービスの本質を検証する。

中堅・中小企業向けSaaSが市場を牽引

 クラウドコンピューティングが企業活動に与えられる直接的な効果を図ることは難しい。それでも大手企業は、自社のIT資産を棚卸し、無駄な資産をカットまたは再配分することで、ITコストの削減が図れるだろう。これまでは、既にある業務をIT化し、人員の再配分を繰り返してきた。結果、企業全体ではIT資産が増加し、複雑なシステム構造と重複した運用コストが生まれている。今は、その見直しを迫られているタイミングにある。

 一方で、日本に400万社以上、企業全体の97%を占めるとされる中堅・中小企業においては、クラウドコンピューティングを基盤とした中堅・中小企業向けSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)型ビジネスアプリケーションが注目され、市場を牽引するまでの成長を遂げている。

 中堅・中小企業はこれまで、IT化への積極的な投資意欲は低く、最低限必要なシステムにのみ投資してきた。人員数が少ない経営環境においては、多額のIT投資を実行する必然性がなかったからだ。しかし、SaaS型ビジネスアプリケーションが持つ、規模に応じた料金体系と、SaaS間の連携の容易さや、導入・運用に対する敷居の低さが、中堅・中小企業の経営者に受け入れられ始めている。人員コストを増やさず、少ないIT投資によって生産性をより高めるのが狙いだ。

過去からの選択プロセスがSaaSにカスタマイズを求める

 当社の顧客層も、中堅・中小企業が中心である。長引く経済不況の中で、最低限のリソースで収益性を飛躍的に高めたいと考える経営者の声は強い。ここに、これからのSaaSサービスの本質が潜んでいると著者は考える。

 大手企業における情報システムは、自社の業務フローや組織にすべて適合した形で導入される。パッケージソフトが持つ機能の中でも、自社の業務フローに適していないものは採用しない、あるいは大幅にカスタマイズする。しかし、ここまでを、実際の運用で試すわけではなく、ITベンダーからの説明と商品カタログだけで判断しているわけだ。ただ、実際に社内運用が始まると、導入担当者の思惑通りに利用が進まないケースが後を絶たない。

 これまでの導入慣習から、日本の大手企業は、SaaSを過去のASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)サービスやオンプレミス(自己所有)型ソフトウエアの導入と比較しがちである。結果、SaaSに対して、カスタマイズが難しいという評価を下す。導入担当者は、カスタマイズによって利便性と効果が高められると信じ込み、既存の業務フローに適した仕様を検討する傾向にあるからだ。

 これに対し、中堅・中小企業では、ビジネスアプリケーションにおいても、パッケージをカスタマイズすることなく、いかに自社の業務・組織に合わせるか、あるいはルールを作っていけるかを見極めて、導入を図っている。すなわち、自分たちの知識の範囲で、システムが提供する機能を自社の業務フローに置き換えられるかどうかを判断する。これは、当社ユーザー企業のヒアリングや導入傾向からも明らかだ。

 大手企業が、導入決定までに多大の時間とコストをかけているのに対し、中堅・中小企業が、あるビジネスアプリケーションが利用できるかどうかの判断に費やすのは、約10営業日以内である。検討段階から大きな投資をせず、自らの体質改善を検討することで、本来求めるべき効率化に進んでいく流れが一般的である。