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 2010年に入り日本でもツイッターが爆発的な普及を遂げつつある。ソフトバンクの孫正義社長や経済評論家の勝間和代氏といった著名なツイッター・ユーザーは数万を超えるフォロワーを抱えており,マスメディア並みの影響力も見せ始めている。

 その一方で企業としてツイッターとどのように向き合えばよいのか迷っている担当者も多いだろう。マーケティングに活用できそうだが,コンプライアンス面で不安も見える──。本書はそんな企業ユーザーの疑問に答えてくれる。タイトル通り,ツイッターのビジネスでの利用について,豊富な事例を交えて紹介した本だ。

 著者はツイッターを「マスメディア」ではなく「会話メディア」であると説く。一方的に自社の告知をするのではなく,時に個人的なつぶやきなどをしつつ,顧客と会話をすることが成功の秘訣というのだ。

 企業のツイッター活用の初期の例として著者が紹介するのが米デルのケースだ。ツイッターが一般的に知られ始めた直後の2007年6月,デルのオンライン・マーケティングの担当者はツイッター上でリースアップの旧モデルのコンピュータの販売を始めた。ディスカウント・コードを含めて特定の顧客にダイレクト・メッセージを送ることで,重荷になっていた旧モデルの在庫を大幅に圧縮できたという。

 デルの活用はそれだけに止まらない。社内のソーシャルメディア・チームは自社の製品やサービスについて,ユーザーがどんな感想を持っているか調べるために,当初ツイッターを観察していたという。しかしすぐに自社の製品やサービスの改良に役立てるために,自ら発言し始めた。「会話を通じて顧客の敵意を解消し,顧客との間に親密な協力関係を築けることが分かった」からだ。

 今では業務時間内に投稿することが奨励されており,個人名が分かる形で150のアカウントを使ってつぶやいているという。デルの事例からは,企業のツイッター利用がデメリットよりもメリットが上回ることが理解できるだろう。実際の対話と同様に,できるだけ顔や個人が分かるようにコミュニケーションすることで「自社のファン」を増やすツールになるわけだ。

 ほかにもユニークな事例は多い。顧客の高齢化に悩んでいた米国の納税申告代理サービス会社が,ツイッターを使って個人別の納税申告ノウハウを教え始めたところ,若い納税者の関心を集めることに成功したという例。ツイッターを使って手術の実況中継した病院が思わぬPRに成功した例などだ。一足先にツイッターが市民権を得た米国ならではの事例で,日本ではまさにこれから役に立つことばかり。逆に失敗事例が少ない点が少し物足りないが,ツイッターの企業利用を考えている企業の担当者は一読の価値がある。

ビジネス・ツイッター

ビジネス・ツイッター
シェル・イスラエル著
日経BP社発行
1890円(税込)