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アクセンチュア IFRSチーム
テクノロジー コンサルティング本部
コンサルタント
深見 知子

[Question6]
IFRSが日本で適用される場合、すべての会社が対象になるのでしょうか?

 2009年6月に金融庁 企業会計審議会が公表した「わが国における国際会計基準の取り扱いについて(中間報告)」によると、東京証券取引所(東証)などの一般市場や、東証マザーズなどの新興市場に上場するすべての企業がIFRS適用の対象となります。IFRSが適用された場合、これらの企業は連結財務諸表に関して、IFRSによる財務報告を行う必要があります。

連結財務諸表を作成していない上場企業:動向のウォッチが必要

 上場企業の中には、連結財務諸表を作成していないところもあります。こうした企業は、現時点でIFRS対応は必須ではないということになります。しかし、そのような企業も、IFRSに対応しなくてよいわけではありません。

 IFRSは、グローバルマーケットからの強い要請に基づく財務情報開示の基準です。どの上場企業も、グローバル化の波から逃れることはできません。IFRSと日本基準の主要な差異を解消するコンパージェンス(収斂)も進みつつあるので、どの企業であれ、IFRSの影響を受けることは避けられないと見るべきでしょう。

 上場企業であれば、金融庁やASBJ(企業会計基準委員会)における検討状況をウォッチし、グローバルマーケットからの要請がどのようなものかを見極めていくことが重要です(「Q3 IFRS適用は連結決算が対象だと聞きますが、単体決算は関係ない?」 」を参照)。

非上場企業:企業規模や会社展望により対応が異なる

 では上場していない企業(非上場企業)はどうでしょうか。非上場企業の多くは中小・中堅規模の企業であり、上場企業と比べると、グローバルな投資の対象となっていない場合が大半を占めます。このため、IFRS適用ニーズは低いと考えられます。

 加えて、IFRSを適用するとなると、体制の整備をはじめ、かなりの負担が強いられます。こうした点を考慮して、非上場企業のIFRS適用については慎重に検討すべきとされており、現時点では方針が決まっていません。

 それでも、グローバルマーケットで財務・事業活動がある上場企業の子会社である、あるいは近い将来上場を計画しているといった非上場企業であれば、IFRS対応に無関心というわけにはいきません。親企業がIFRS対応によってグループ全体の経営強化を図り、業務や情報システムを刷新する計画を立てている場合もあります。

 こうした場合は、非上場企業であってもIFRSに基づく財務報告を余儀なくされるなど、間接的にIFRS対応が必要となることも想定されます。

 海外では非上場企業をどう取り扱っているのでしょうか。英国を例にとってみましょう。

 現時点で英国の非上場企業は、自国の会計基準(UK-GAAP)とIFRSのいずれかを選択することが可能です。ただし、公的説明責任のある企業は今後、完全版のIFRSが適用され、小規模企業を除く企業は中小企業向けの簡易版IFRSであるIFRS for SMEs(International Financial Reporting Standards for Small and Medium-sized Entities)が適用される見通しとなっています。

 一方、自国の会計基準をそもそも持ち合わせていない発展途上国では、上場/非上場を問わず、自国基準としてIFRSを適用しているケースもあります。

条件を満たせばIFRS早期適用の対象に

 日本では2010年3月期から、上場企業ではIFRSで連結財務諸表を開示できるようになります。先行して適用しようとする会社として想定されるのは、上場企業の中でも既にIFRS強制適用となっているEU域内で上場ないし公募による資金調達をしている企業や、国際的に事業を展開しており、国際的な投資家に広く認知されている企業などです。

 IFRSを早期適用するためには、以下の条件を満たすことが必要となります。投資者の財務情報入手および分析の便宜を損なわないように配慮しなければならないからです。

1. 国際的な財務・事業活動を行っており、以下すべてを満たす企業
  1. 発行する株式が金融商品取引所に上場している
  2. 有価証券報告書の中に、連結財務諸表の適正性を確保するための特段の取り組みに関する記述がある
  3. IFRSに関する十分な知識を有する人材を置き、IFRSに基づいて連結財務諸表を適正に作成できる体制が整っている
2. 当該会社、親会社、関係会社もしくは関係会社の親会社に相当しており、以下のいずれかを満たす企業
  1. 外国の法令もしくは外国金融商品市場の規則に基づき、IFRSに従った企業内容などに関する書類を開示している
  2. 連結決算日における資本金が20億円以上の連結子会社を外国に有している

 これらの会社は、「1. 国際的な財務・事業活動を行っており、以下すべてを満たす企業」の2と3を満たせば、その後も引き続きIFRSで開示することが可能になります。

 IFRSの早期適用にはメリットもある一方で、準備不足に陥る恐れもあります。本格的な検証期間を十分に取るというのも選択肢の一つであると考えられます。

深見 知子(ふかみ ともこ)
アクセンチュア IFRSチーム
テクノロジー コンサルティング本部
コンサルタント
学習院大学法学部法学科卒。2005年にアクセンチュアに入社後、受注管理システム再構築における開発マネジメントなどを経験。現在はIFRSチームのメンバーとして、プロジェクトマネジメントなどに従事。