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 iPadの筐体を何とかこじ開けた技術者たち。すっきりした部品の配置に驚きながらも分解を続行する。

図1●回路部の分解班
図1●回路部の分解班
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図2●表示部の分解班
図2●表示部の分解班
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 まず表示部と回路部をつなぐコネクタを外して,表示部と回路部を二分。二手に分かれて,予定より遅れた作業時間を取り戻すべく奮闘する。筐体の取り外しに比べれば,その後の作業は拍子抜けするほどスイスイ進んだ。

 技術者に話を聞くと,どうやらiPadの部品選定はちょうど1年くらい前から始まったらしい。Apple社は設計を自ら手掛けることにこだわっており,EMSには部品選定に口を出させない。価格はもちろんのこと,納期やデリバリーなどに特に“うるさい”という。こうした関門を潜り抜けた部品たちが,iPadに搭載されている。

 部品もカスタム仕様がほとんどという。Apple社の「コンポーネント・エンジニア」が仕様の策定を主導する。カスタム品は,標準品に比べて価格が高くなる。しかし,Apple社のような大量発注となれば,標準品とほぼ同じ価格でカスタム品を用意するという。

 そうこうしているうちに,部品が机の上に次々と並んでいく。メイン・ボード,スピーカー,無線関連チップ,ケーブル,液晶パネル,タッチ・パネル,複数のフィルムやLEDで構成されたバックライトなどである。ウワサどおり,LSIなどの部品の多くが海外メーカー製だった。しかし一部に日本メーカーの部品も含まれていた。狭ピッチのコネクタなどである。ちょっとホッとする。

図3●回路部の分解結果
図3●回路部の分解結果
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図4●表示部の分解結果
図4●表示部の分解結果
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 並んだ部品を見て,「パソコンというよりも,携帯電話機に近い」という印象を技術者たちは抱いたようだ。メイン・ボードをiPhoneに重ねてみると,突起部分を除いて,ほぼぴったり収まった。「次世代iPhoneを分解して基板を比べてみたい」という声も。ぜひ次世代iPhoneも分解しましょう。

 実は,まだ筐体から外していない部品があった。Liポリマ2次電池である。これが,なかなか外れない。どうやら強力な両面テープや接着剤で筐体に張り付けてあるらしい。屈強な技術者が,力任せに取り外しに挑む。バリバリ,バリバリバリ。顔を真っ赤にしながら,なんとか外すことができた。

 2次電池を外すと,筐体の“りんごマーク”の裏に相当する部分に,まだ部品があることが判明。これもバリバリとはがしてみると無線チップがあった。iPadの裏面筐体はアルミ合金製なので,電波の受信がしにくい。そこで筐体にりんごマークの穴を開けて電波を通るようにし,そこに樹脂をはめ込んだのだ。いかにもApple社らしい遊び心のある設計だ。

図5●2次電池を外すと無線チップが
図5●2次電池を外すと無線チップが
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図6●iPadの背面
図6●iPadの背面
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 これで分解は一通り完了。各部品を詳細に調べる作業に移る。各部品の重さを調べたところ,意外な部品が最も重いことが判明する。

―― その6へ続く ――

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