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 企業ネットワークのIPv6対応で最初に必要となるのが,IPv6接続サービスである。公開サーバーを外部からIPv6でアクセスできるようにするときや,社内から外部のサーバーにIPv6でアクセスするときに,IPv6サービスが必要となる。

まずはIPv6接続サービスの3タイプを知る

 法人向けのIPv6インターネット接続サービスは,大きく分けると3方式がある。(1)「デュアルスタック方式」,(2)「ネイティブ方式」,(3)「トンネル方式」──である(図1)。企業は,自社のネットワーク環境や用途に合わせて,これらのサービスを選択することになる。

図1●3タイプある企業向けIPv6接続サービス<br>最近では(1)と(3)だけを提供する事業者が多い。IPv6専用の回線を使いたい場合には,(1)の回線をIPv6用に別途契約することになる。
図1●3タイプある企業向けIPv6接続サービス
最近では(1)と(3)だけを提供する事業者が多い。IPv6専用の回線を使いたい場合には,(1)の回線をIPv6用に別途契約することになる。
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 (1)のデュアルスタック方式は,IPv6とIPv4のインターネット接続を一つの回線で提供するサービスである。IPv4パケットとIPv6パケットを混在させて転送する。(2)のネイティブ方式は,IPv4用とは別の回線を用意し,IPv6専用として使うサービスである。(3)のトンネル方式は,IPv4パケットでIPv6パケットをカプセル化して転送する。ユーザー拠点とISPをつなぐ回線上には,IPv4パケットだけが流れることになる。本運用を視野に入れて本格的にIPv6環境を構築する場合はデュアルスタック方式かネイティブ方式,まず既存のIPv4環境を使って手軽にIPv6環境をテストしたいという場合には,トンネル方式を選択するのがいいだろう。

 このほか,社内端末単位でトンネルを張る簡易型のトンネル方式サービスもある。インターネットイニシアティブ(IIJ)が提供する「IPv6仮想アクセス」がそれ。これはWindowsが標準で備える「PPTP」を利用したサービスで,端末とIIJが網側に用意した終端装置の間にトンネルを確立し,IPv6パケットを中継する。公開サーバーの対応状況の確認のため,一時的にIPv6接続機能が欲しいときなどに使える。

導入コストが安いデュアルスタック

 もう少し具体的に,3タイプの使い分けの方針を考えてみよう。

 既存のIPv4と同様に本格的な使い方をするなら,デュアルスタック方式とネイティブ方式が候補となる。

 両者の中でも,既にIPv4インターネット接続を利用している場合は,デュアルスタック方式の方が導入コストを安くできる。

 例えば,KDDIの場合,アクセス回線に広域イーサネット(KDDI Powered Ethernetなど)の共用回線を利用する「イーサシェア」という中堅企業向けインターネット接続サービスを提供している。これはデフォルトでデュアルスタック対応となっている。つまり,既存のIPv4ユーザーは追加料金なしでIPv6インターネット接続機能も利用できる。

 NTTコミュニケーションズ(NTTコム)の場合,IPv4だけの接続サービスに比べて,デュアルスタック方式のサービスでは追加料金が発生する。それでも別途回線を用意するネイティブ方式に比べるとかなり安価だという。

 ネイティブ方式は,既存のIPv4環境と切り離した形でIPv6を導入したいというケースに適している。例えばデュアルスタック方式を利用する場合,ユーザー企業のルーターはIPv4とIPv6で共用となる。この状況では,IPv6の機能で起こった障害が,メインとして利用しているIPv4の通信に影響する恐れがある。こうした危険を回避したい場合は,ネイティブ方式を選択してIPv6専用の回線を使い,ルーターもIPv6用に別途用意する。

 注意が必要なのは,最近のサービスでは,IPv6専用のネイティブ方式をうたったものが少なくなっている点。例えば,KDDI,NTTコム,ソフトバンクテレコムは,単独のネイティブ方式を提供せず,デュアルスタック方式だけを提供している。これらのサービスを使ってIPv4回線とIPv6回線を切り離して使いたい場合には,デュアルスタック方式の回線を二つ契約し,それぞれIPv4とIPv6に利用するという方法を取ることになる。