個人ユーザー向けのIPv6インターネット接続サービスがいよいよ本格的な離陸の時期を迎えている(図1)。この動きは企業ネットワークとも無縁ではない。社員が企業の社内ネットワークに接続するためのリモート・アクセスの基盤がIPv6化することを意味するからだ。今後,在宅勤務といったワーク・スタイルの多様化で,ますますリモート・アクセスの利用は増えていくだろう。そうした状況を考えると,リモート・アクセスのIPv6対応は避けて通れない重要なテーマである。
VPN装置はIPv6だけの環境で使えない
現在一般的に使われるリモート・アクセスは,企業の拠点に専用のVPN装置を設け,様々なトンネリング・プロトコルを使ってクライアント端末を接続するというもの。主なプロトコルとして,PPTP,IPsec,SSLなどがある。
こうしたVPN装置によるIPv6でのリモート・アクセスには,現在,大きな課題がある。IPv6対応をうたっているVPN製品は,IPv4トンネリングを使ってIPv4インターネットを経由する方式に対応している(図2のa)ものの,IPv6インターネットで直接VPNを張る方式に対応していないのである(図2のb)。2011年後半には(b)の形態で利用できるVPN装置が必要となってくる。今後のVPN装置の開発状況を注視していかなければならない。