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 KDDIの「KDDIクラウドサーバサービス」は、仮想環境を実装したサーバーを貸し出すクラウドである。他社のクラウドはサーバー・リソースを複数の顧客で共有するが、KDDIクラウドサーバサービスでは顧客はサーバー・リソースを専有できる。

図1●「KDDIクラウドサーバサービス」の提供形態
図1●「KDDIクラウドサーバサービス」の提供形態
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 KDDIクラウドサーバサービスは、プライベート・クラウドのような提供形態だが、顧客の個別要件に応えるサービスではない。クラウドを構成しているサーバーやOS、仮想化ソフトなどは、KDDIが標準仕様として用意したものをそのまま利用する(図1)。

 「顧客がサーバーの存在を意識することなく、仮想環境だけを自由に利用できるサービスとして開発した」。KDDIの柳亮弥ソリューション商品企画本部ソリューション商品企画部プラットフォーム・セキュリティグループ課長補佐は、こう説明する。

 実現のため、KDDIは米3tera社のクラウド構築ソフト「AppLogic」をサービスの標準仕様として採用した。AppLogicは、複数台のサーバーを統合して一つの仮想環境として管理できるようにするソフトウエアである。AppLogicの管理画面を顧客に開放したのが、KDDIクラウドサーバサービスである。

図2●システム構築の管理画面
図2●システム構築の管理画面
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 顧客は、管理画面に表示されるWebサーバーやDBサーバーなどのアイコンを選択するだけで、必要なリソースをすぐに追加できる。選択したリソースを線でつなげば、そのまま仮想システムとして稼働させられる(図2)。

 選択したリソースに割り当てるCPU処理性能やメモリー容量などの配分も、顧客が管理画面で設定可能だ。CPUは0.01コア単位、メモリーは1MB単位ときめ細かく設定できる。

 設定の上限は、仮想環境を実装しているサーバー・リソースのスペックまでとなる。サーバー・リソースの最小構成は、CPU処理性能が16コア、メモリー容量が32GB、ストレージ容量が4.3TBである。

 サーバー・リソースが足りなければ、CPUは8コア、メモリーは16GB、ストレージは2.1TBで構成するユニット単位で追加できる。AppLogicの仕様上、ユニット単位の追加が前提となる。CPU、メモリー、ストレージを個別に追加することはできない。

 KDDIクラウドサーバサービスは、AppLogicの管理画面を顧客に開放することで、プライベート・クラウドのような使い勝手を可能にした。顧客の自由度は高まるが、完全なプライベート・クラウドとは言い切れない。利用できる回線がインターネットに限定されている、プライベートIPアドレスを利用できないといった制約があるからだ。KDDIは2010年度中にも、こうした制約を解消する計画である。

 仮想サーバーの対応OSについても、2010年度中に拡充したい考え。現在はAppLogicの仕様でCentOS 5.0に限定している。AppLogicでは既に英語版のWindows Server 2003 R3に対応済み。日本語版の動作検証を待って、同OSを利用できるようにする。

 KDDIクラウドサーバサービスの利用料は、基本構成で月額30万円とサーバーのスペックで比較すると割安感がある。KDDIの柳課長補佐は、「このサービスはドアノック商材のようなもの。回線サービスやセキュリティサービス、ホスティングサービスといったKDDIの中核事業の拡販につなげる」と説明する。