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 政府・自治体の行財政改革を推進する切り札として、「事業仕分け」に対する関心と期待が高まっている。2002年から地方自治体などで仕分けに取り組み、2009年10月に内閣府行政刷新会議の事務局長に就いた加藤秀樹・構想日本代表に行財政改革のあり方について聞いた。(聞き手は日経BPガバメントテクノロジー編集長、井出 一仁)

構想日本 代表、内閣府行政刷新会議 事務局長 加藤秀樹氏(写真:佐藤 久)
構想日本 代表、内閣府行政刷新会議 事務局長 加藤秀樹氏
(写真:佐藤 久)

2009年11月の政府の事業仕分けが社会の大きな話題になりました。仕掛け人として世の中の反応をどのように見ていますか。

 報道されて全国的に話題になったのはよかったのですが、誤解も生じました。予算を3兆円くらい削れるはずだったのに1兆円しか出てこなかったなどといった批判がありました。予算をつけるつけないという対立の構図を作って繰り返し流すマスメディアの報道の仕方にも問題があったと思っています。

 議論を傍聴した人には誤解はないと思いますが、事業仕分けとは、行政がこれまでやってきた事業について、現場で実際に起こっていることを調べて洗い直し、行政全体を見直すことです。

 事業をよく見ていくと、その背後にある組織や制度がセットで見えてきます。個々の事業の無駄をなくすだけでなく、裏にある制度や組織の問題点まで洗い出し、行政・財政全体の改革へとつなげていく---。これが事業仕分けの本来の目的です。国と地方の関係を見直す地方分権も、この流れから出てくるものです。

では事業仕分けの本質とは。

 事業の“現場”を知っている人の目、つまり現場の視点と公開で行うことです。

構想日本 代表、内閣府行政刷新会議 事務局長 加藤秀樹氏(写真:佐藤 久)
加藤秀樹氏

 行財政改革は、20年も30年も議論されてきましたが、一向に進みませんでした。主な原因は“上から目線”です。そうではなく、個々の事業の現場サイドの視点で整理していった方が、全体の話ばかり続けているよりも、逆に全体像が見えてくるというのが、大事なポイントです。

 例えば道路予算が必要かどうか一般論で議論するよりも、全国各地の道路の必要性を具体的にチェックした方が全体の議論にも役に立つわけです。また公開の場で行うと、後から発言を翻したりなかったことにできなくなるし、説明にはみんなが納得する説得力も求められます。

 政府や自治体の予算上の費用項目には非常に多くの種類がありますが、「事業」として見ればそれほどでもありません。国で言えば3000くらい。2009年11月の仕分けでは、そのうち400強を対象にしました。