PR

アビームコンサルティング
シニアコンサルタント
菊本 善夫

 前回と今回では、IFRS(国際会計基準)基準書(「2009国際財務報告基準IFRS」、中央経済社)の概要を把握する三つのステップを取り上げています。前回は「ステップ1 基準書の大枠」を中心に説明しました。今回は「ステップ2 会計基準の構成を把握する」と「ステップ3 基準本編の頻出用語を理解する」を見ていくことにしましょう。

ステップ2 会計基準の構成を把握する

 ステップ1で紹介したIFRS会計基準の構成は各基準によって若干異なりますが、おおむね以下の章立てで構成されています。

  1. はじめに
  2. 基準本編(規定)
  3. 結論の根拠
  4. 付録

 「はじめに」では、会計基準が設定された理由や基準の主要な特徴などを説明しています。その基準がなぜ定められているのかを知りたい、基準の概要を手早く把握したい、といった場合に参照します。

 「基準本編」は、会計処理や開示項目のルールを定める規定の部分で、会計基準の中心となります。基準書を読まなければならないときは多くの場合、基準本編を参照します。特に時間に制約があり、手早く基準を調査したいときは、基準本編だけを精読し、必要がある場合にその他の部分を参照するのが効率的です。

 「結論の根拠」では、基準本編が定められた経緯や理由を示しています。基準本編の補足情報を提供している点は「はじめに」と同じです。「はじめに」は基準全体に対する背景などが概括的に記載しているのに対し、「結論の根拠」は個々の論点ごとに検討された項目や結論に至る過程を記載しており、より詳細で具体的であるという違いがあります。

「付録」が基準の一部となるケースも

 「付録」には、用語の定義、設例、例示、基準本編の要約などを記載しています。付録は単なる補足情報とは限らず、基準の一部として位置づけられているもののあるので注意が必要です。

 例えば前回、例として挙げたIFRS第1号第13項には「本基準は他のIFRSの一部の局面の遡及適用を禁止している。これらの例外は、第14項及び第17項及び付録Bに示されている」とあります。規定の部分は付録に丸投げしているのです。

 付録が基準の一部であるかどうかは、付録の最初に明記されています。付録が基準の一部となっている基準は、IFRS第1~7号、IAS第32、33、36号です。その他の基準に付属する付録は基準の一部とはされていません。

記号や番号を覚えておくと便利

 ちなみに、基準本編の各条文には1から始まる連番が付されています。上で述べた「はじめに」や「結論の根拠」など、基準本編以外の章にも番号が振られています。

 それだけでなく、番号の前に記号が付いているのがIFRS基準の特徴です。例えば「IN1」「BC2」といった具合です。

 基準書を見ると、多くのページにいろいろな記号や番号が付されていることがわかります。最初は非常にわかりにくく、うっとうしいと感じるかもしれません。

 しかし、よく見ると、これらの記号の数は意外に多くないことがわかります。基準を読む際にこの記号を覚えておくと、そのページがどの章のものかが瞬時に判別できます。

 に代表的な記号を示します。これらを覚えておけば、基準書がぐっと身近に感じられるようになるでしょう。

表●基準書に出てくる主な記号
記号 元の語句 意味
IN Introduction はじめに
BC Basis for Conclusions 結論の根拠
IG Implementation Guidance 適用ガイダンス
IE Illustrative Examples 設例
AG Application Guidance 適用指針
DO Dissenting Opinions 反対意見
作成:アビームコンサルティング