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 V字回復――。ITサービス主要88社が発表した2010年3月期決算と今期(2011年3月期)の業績予想から浮かび上がる言葉だ。リーマン・ショックの後遺症が長引いており、2010年3月期のITサービス各社の決算は軒並み「減収減益」だった。

 だが、今期は一転して8割の企業が「増収増益」予想を掲げる。頼みの綱は景気回復と、クラウド関連ビジネスの拡大である。

 国内のITサービス企業の業績の傾向を探るため、本誌は売上高50億円以上のITサービス会社の2010年3月期決算を集計した。2009年/2010年3月期の業績と2011年3月期の予想を比較できる88社の売上高の合計と、営業利益の合計を図1に示した。

図1●ITサービス会社88社の業績推移
図1●ITサービス会社88社の業績推移
2010年3月期の連結売上高が50億円以上で、2009年3月期や2011年3月期予想を比較できる3月期決算の上場企業を対象。メーカーのNEC、日立製作所、富士通は除く

 2010年3月期の売上高合計は5兆1170億円、営業利益合計は2987億円。2009年3月期と比べると、売上高は7.4%減、営業利益は22.3%減となった。

 企業規模を問わず、ITサービス各社は厳しい戦いを強いられた。売上高500億円以上の大手・準大手18社のうち14社が減収減益である(図2)。増収増益を達成したところは1社もない。

図2●ITサービス会社92社の2010年3月期の業績<br>2009年3月期と2010年3月期の業績を比較できる92社を対象。便宜上、売上高が前期と同じ企業は増収。営業利益については、前期と同じ、赤字から黒字転換した、赤字幅減のいずれかに該当する企業は増益とした。黒字から赤字転落の企業、赤字増の企業は減益とした
図2●ITサービス会社92社の2010年3月期の業績
2009年3月期と2010年3月期の業績を比較できる92社を対象。便宜上、売上高が前期と同じ企業は増収。営業利益については、前期と同じ、赤字から黒字転換した、赤字幅減のいずれかに該当する企業は増益とした。黒字から赤字転落の企業、赤字増の企業は減益とした
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 「新規案件の減少や景気悪化に伴う原価率の悪化で利益が減った」。NTTデータの山下徹社長はこう話す。日本ユニシスの白鳥恵治上席副社長は、「特に製造業がIT投資に慎重だった」と言う。ITサービス各社の経営陣は決算発表の席で、「当初、想像していた以上に(ユーザー企業が)IT投資を抑制した」と嘆いた。

 売上高50億~200億円の中堅ベンダーも状況は同じだ。44社のうち7社は増収増益(赤字幅の縮小を含む、以下同様)だが、そのうち2社は赤字幅が縮小しただけにすぎない。営業赤字だった企業は13社で、2009年3月期よりも5社増えた。