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by Gartner
ジェームズ・リチャードソン リサーチディレクター
アンドレアス・ビテーラ リサーチVP
堀内 秀明 マネージングVP

 現在、少なからぬCIOが、BI(ビジネスインテリジェンス)に幻滅しているようだ。ガートナーが全世界の1600人のCIOに行った2010年の課題に関する調査によると、BIが「優先的なテクノロジー」のランキングのトップから5年ぶりに陥落した(表)。ガートナーは、このような調査結果がITリーダーを誤解させ、BIへの取り組みを縮小させかねないと懸念している。それは危険な意思決定だ。

表●CIOが選択した優先的なテクノロジーのランキング
表●CIOが選択した優先的なテクノロジーのランキング

 IT部門がビジネスに役に立つ存在であるためには、経営層に密着し、事実に基づいた適切な分析を提供することで、意思決定を支援する必要がある。IT部門がBIのような取り組みをやめるのは、役割の喪失を意味する。

 もっとも、「企業全体を通じたBIは難しい。技術的に難しいのではない。業績測定基準の定義や使用するツール、データ統合などに関して、部門や個人の合意を取り付けるのが難しいのだ」と嘆くCIOがいてもおかしくない。BIの成功と失敗を左右する最大の要因は、技術に関する能力ではなく、『組織間の調整スキル』だからだ。

 調整スキルを欠くIT部門は少なくない。そして調整スキルの欠如が、BIの失敗を招き、BIへの失望を呼び起こしている。しかしBIは、IT部門を「他部署のサポート部門」から「事業戦略に貢献する部門」へと変貌させるという、CIOにとって長年の夢を実現する最大のチャンスだ。

 BIがテクノロジー優先度ランキングで順位を落とした原因として、すでに大量のBIツールが企業に導入されていることも挙げられる。CIOの次なる任務は、既存のBIツ ールを活用して、企業の競争力強化に貢献することだ。実際、CIOの「ビジネス優先度」のランキングでは、「情報/分析の利用増大」がこの2年で順位を上げている(2008年は8位、10年は3位)。

 ガートナーは現在、利用部門によるBIツールの勝手な導入が急増しているとみている。そのため、全社的なBIの取り組みをやめた場合、利用部門によるBIツールの無秩序な導入によるサポート支出やライセンス支出の増大に加え、部門BIのサイロ化や、透明性の低下、リスク分析がされていない信頼性の低いExcelシートのまん延などが起こり得る。

 BIツールは、CIOの意思にかかわらず利用部門に浸透しつつあるが、CIOによる参加と統制がなければ、失敗してしまう。CIOは今後も、全社的なBI導入を促進し、全社的なBI導入が実現する一貫性と、部門単位でのBI導入が実現するアジリティー(迅速さ)を両立させる必要がある。