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 RDセッションホストが提供できるもう1つの機能は、RemoteAppプログラムである。この機能は Windows Server 2008のターミナルサービスで初めてサポートされたものであり、リモートアプリケーション実行のエクスペリエンスを大きく変えるものである。

RemoteAppプログラムとは

 従来のリモートデスクトップサービス(ターミナルサービス)の利用方法は、ユーザーがサーバーにリモートデスクトップ接続して、表示されたデスクトップ環境の中で、サーバー側にインストールされたアプリケーションを、サーバー側のリソースを使用して実行するというものであった。ユーザーはローカルとリモートの2つのデスクトップを利用し、使用するアプリケーションによってデスクトップを切り替えて作業する必要がある。このような利用形態は、エンドユーザーをひどく混乱させることがある。リモートデスクトップを全画面表示にした場合、ローカルのデスクトップとまったく変わらないエクスペリエンスが提供される。デスクトップ OSと同じユーザーインターフェイス、ローカルドライブや PnPデバイスへのアクセス、オーディオの再生、RD Easy Printによるローカルプリンター設定へのリダイレクトなどは、ユーザーにとって非常に便利なものであるが、ローカルとリモートの区別が付かなくなってしまうという問題もある。複数のデスクトップの存在は、ヘルプデスクのスタッフにとっても悩みの種になる。

 RemoteAppプログラムによって、この問題は解決した。RemoteAppプログラムを使用すれば、ユーザーはサーバー側のリモートアプリケーションを、ローカルのデスクトップ上で直接実行できるのである。ただし「直接実行できる」と言うのは見た目の話であって、正確な表現ではない。ユーザーは、サーバー側にインストールされたアプリケーションを、リモートのデスクトップを表示することなく開始できる。そして、そのアプリケーションのウィンドウを、ローカルのデスクトップ上にシームレスに表示することができる。図22は、Windows 7コンピューター上で2つの Word 2007を実行している例である。一方はサーバー側で実行されている RemoteAppプログラムで、もう一方はローカルで実行されている。

図22●ユーザーのデスクトップ上で同時に実行されているローカルとリモート(RemoteAppプログラム)の Word 2007およびタスクマネージャー
図22●ユーザーのデスクトップ上で同時に実行されているローカルとリモート(RemoteAppプログラム)の Word 2007およびタスクマネージャー
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 ローカルとリモートの区別ができるだろうか。答えは図22の中に書いてしまっているが、両方のウィンドウ枠に注目してほしい。ローカルのウィンドウは半透明で背景が透けているが、RemoteAppプログラムはそうではない。タスクバーのアイコンでも区別できる。ちなみに、RemoteAppプログラムでは、タスクバーのサムネイル表示は利用できない。タスクマネージャーが2つ表示されているが、これもローカルとリモート(RemoteAppプログラムとして公開したサーバー側のタスクマネージャー)でそれぞれ実行されている。ローカルのタスクマネージャーでは、2つの RemoteAppプログラムとローカルの Word 2007が実行中である。リモートのタスクマネージャーでは、Word 2007が実行されているだけである。

 ちょっと面白いことをしてみよう。リモートデスクトップサービスには、ユーザーのセッションに接続して、現在のデスクトップを参照、制御することができるリモート制御機能がある。リモートデスクトップサービス利用時のヘルプデスクに便利な機能だ。リモート制御は、[リモートデスクトップサービスマネージャー](Tsadmin.msc)スナップインから利用することができる。これを使って、図22の RemoteAppプログラムのセッションに接続してみよう。リモート制御は、別のリモートデスクトップ接続のセッション内からでなければ利用できないことに留意してほしい。図23は、RDセッションホストに管理者アカウントでリモートデスクトップ接続し、[リモートデスクトップサービスマネージャー]スナップインを使用して、ユーザーのセッションに接続するところだ。

図23●RemoteAppプログラムのセッションにリモート制御で接続する
図23●RemoteAppプログラムのセッションにリモート制御で接続する
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