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 今回のお題として取り上げるのは、Winny/Shareによる情報流出事件である。新聞紙面で取り上げられることはだいぶ少なくなったが、4月に日大職員による学内情報や個人情報の流出事件が、5月に入って松山市内の小学生の成績や写真などの個人情報がWinnyネットワークへ流出するなど、数は少なくなっても流出事件が定期的に発生している。

Winny/Shareのユーザー数自体は減少している

 そもそもWinny/Shareの利用数は減っているのだろうか、増えているのだろうか。ネットワークフォレンジック機器の「パケットブラックホール」や、WinnyやShareの通信を止めるアプリケーションファイアウォールの「OnePointWall」を開発・販売しているネットエージェント社が、ユーザー数の推移の統計データを公開している()。

表●ネットエージェント社が公開している2009年度のP2Pノード数に関する四半期調査報告
(http://forensic.netagent.co.jp/quarter.html)
 WinnySharePerfect Dark全体
2009年4月~6月の月平均20万671717万7504万224341万9710
2010年1月~3月の月平均14万40310万89765万995830万9337
増減68%64%142%74%

 それによると、2009年4月~6月の3カ月間の月平均がWinny:20万6717ノード、Share:17万750ノード、Perfect Dark:4万2243ノードだった。これが、2010年1月~3月にはWinny:14万404ノード、Share:10万8976ノード、Perfect Dark:5万9958ノードとなっている。つまり、1年弱でWinnyとShareはユーザー数は3割~4割ほど減っている。Perfect Darkは4割増だが絶対数が少ないため、P2Pユーザー全体としても3割減となっている。

 Perfect Darkのユーザー数が増加しているのは、Perfect Darkの暗号機構がまだ完全に破られておらず、比較的匿名性があることから、Winny/Shareのユーザーが流入していると思われる。全体のユーザー数が減っている原因としては、まずニコニコ動画やYoutubeなどのFlash系動画再生サイトが流行し、動画を見る目的でWinny/Shareを利用していたユーザーはそちらに流れている点が上げられる。また、書店やコンビニなどで売られている違法ダウンロードを教唆する書籍では、ツールとして同じP2PのBitTorrentが紹介されており、そちらに流れているWinny/Shareユーザーも多いと推測される。

 このように、Winny/Shareはユーザー数は減っており、情報流出事件のまとめサイトであったWinny個人情報流出まとめも2009年12月に更新が終了している(図1)。だが、P2Pのヘビーユーザーはコンテンツを無料で手に入れるという甘美な誘惑から逃れられず、ソフトや環境を変えながらP2Pを使い続けている。自分の周りでP2Pにまつわる情報漏えいの事件がいつ起こってもおかしくないという状況は、実は逆に高まっているのではないかと筆者が感じる事件が起きている。

図1●「Winny個人情報流出まとめ」サイト<br>2009年12月以降は更新されていない。
図1●「Winny個人情報流出まとめ」サイト
2009年12月以降は更新されていない。
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