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 外部からの押し付けではなく、自分の中にある「答え」を引き出すコーチングの手法を解説した。著者の1人である渡邊有貴氏は、「リーダーが部下と一緒につらい気持ちを味わうのも必要なプロセス」と話す。(聞き手は、小林 暢子)

タイトルの「ベストアンサー」は何を指すのか。

 私たちはコーチングにおいて「コーアクティブ(協働)」という考え方を重視しているが、これは「人間は皆自ら答えを見つける力を持っている」という考えに根ざしている。

 何かの課題に取り組むとき、上司に聞いたり、本を読んだりすることはそれなりに有用だが、ベストの答えは自分の中にある。「今、本当はどうしたいのか」を自分に問いかけ、その答えを得て初めて、実行へのモチベーションが高まる。その引き出し方を解説したのが本著だ。自分で自分に問いかける場合にも、リーダーが部下に問いかける場合にも役立つ手法を解説している。

傾聴や質問など、コーチングのスキルを上司が使うと、空々しく感じるという意見も聞くが。

 普段から会話が無かったり、一方的な指示や叱責ばかりだったりする関係では、急に接し方を変えることで、違和感や反発を感じるのは当然だ。チームをうまく機能させるうえでは「関係性のデザイン」が必要になる。人は生きていくうえで、多くの他者と関係を持っているが、意図的に関係性を作っていこうという努力をしないまま「あの人は苦手」「そりが合わない」と遠ざけてしまうことも多い。

 一人ひとりとどのような関係を築きたいかを自らデザインし、相手に不満があれば率直に「こうしてほしい」とリクエストを伝えていくことが必要だ。例えば、遅刻が多い部下を嫌うのではなく、「時間通りに来てほしい」と明確に伝えるといったように。我慢したり、相手のせいにしたりすることでストレスがたまる。ある時点でキレてしまうと、ますます関係は悪化し、メンタルヘルスも悪化しかねない。

リクエストを率直に伝えると、相手がネガティブな感情を持つのではないか。

 ポジティブな感情が生まれれば行動は促進されるが、いつもポジティブでいるべきだとは考えていない。人は怒りやつらさを感じたとき、気にしないよう封じ込めて前に進もうとしがちだ。しかし起こっていることをきちんと受け止めることから逃げてはいけない。納得できない気持ちやもやもやした違和感に背を向けて、無理にポジティブな解決策を生み出そうとしても、表層的で行動に結び付かない。

 大きなことを成し遂げた人は、つらい原体験を持っていることが多いと言われるが、それに向き合ったからこそ前に進むエネルギーが生まれたのではないか。部下がつらい思いをしている時に、一緒に思いを共有できるリーダーこそが、部下との協働関係を作れるはずだ。(談)

渡邊 有貴(わたなべ ゆき)氏
慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了後、コーチングやコンサルティングを通じて、個人や組織人を支援する。CTIジャパンでワークショップやコーチの養成を担当。

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島村 剛/渡邊 有貴著
CTIジャパン監修
すばる舎発行
1470円(税込)