PR

Ivar Jacobson(Ivar Jacobson International)
Steve Cook(Microsoft)

(訳 チェンジビジョン 平鍋健児、大田緑、中原慶、近藤寛喜)


 UML(Unified Modeling Language: 統一モデリング言語)が標準となってから12年以上がたちます。この間、好意的なものから嫌悪に満ちたものまで、UMLに関して様々な意見がありました。

 この記事では、現在のUMLの仕様と提案に欠けている点や、UMLをよりアジャイルに、よりリーンに(ムダを省き)、より賢く、そしてよりフレキシブルにするにはどうすればよいかを議論します。現在のUMLに対する投資が、未来への価値へとつながっていく。このことを、UMLのユーザーに確信してもらえるようにしたいと思います。

成功の後に、揺り戻しが来る

 1990年代初頭の時点で公開されていたオブジェクト指向の方法論は26ありました。それらの方法論の多くは、独自に定義した1セットの図形と独自の表記法を使っていました。

 UMLはこうした環境から生まれました。皆さんもご存知だと思いますが、Grady Booch氏とJim Rumbaugh氏、そして筆者の一人(Ivar Jacobson)がUMLの原型をデザインし、とても早い段階から筆者のもう一人(Steve Cook)を含む他の貢献者が参加しました。その成果を、OMG(Object Management Group。オブジェクト指向技術の標準化団体)が発表したのです。

 UMLの登場により、独自の記法を使った他の方法論はすぐに時代遅れのものになりました。最終的に、UMLは我々が望んだように標準となり、ツール開発者や実践者はこの新しいアプローチを急速に採用し始めました。

 しかし、いつか振り子が反対の方向へ振れるときが来る。UMLが最初の際立った成功を収めた時点から、我々はみな、このことを分かっていました。

 我々は正しかった。数年後、ゆり戻しが来ました。それにはちゃんとした理由があったのです。

ツールは向上し、アジャイルなモデリングも可能に

 初めのうちは、良いUMLのツールが本当に存在しませんでした。いくつかのツールはとても先進的でしたが、使いづらいものでした。それは多くのユーザーをがっかりさせ、UMLの幅広い採用を遅らせました。

 アカデミックな分野からは、UMLは言語として批判を受けました。例えばDavid Parnas氏は、UMLに「Undefined Modeling Language(定義されていないモデリング言語)」というニックネームを与えました。表現は誇張していますが、それなりの根拠がある批判です。

 アジャイル開発の動きを主導した最初のリーダーたちも、UMLによるモデリングには否定的でした。「モデリングはしない。コードを書くだけ」というのが、リーダーたちの主張です。UMLを使う場合も、ツールを使って正しく描くよりも、ホワイトボードにスケッチする方を好みました。多くの人たちがツールに懐疑的だったのです。

 いま、振り子はまた戻り始めました。ツールはずいぶん良くなりましたし、アカデミックからの批判も少なくなりました。アジャイルの考え方は巨大企業にも到達し、モデリングもアジャイルの流儀で進められるようになりました(「銀の弾丸」としてではなく、分別を持って行えば、という意味です)。

 Microsoftは開発ツール「Visual Studio」で、ドメイン特化言語(DSL)とともにUMLを実装しています。他にもSysML(汎用のグラフィカルなモデリング言語)のような重要な標準が、UMLの拡張として作られています。