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 グーグルについてのノンフィクションに、新しい決定版が出た。原題は”Googled: The End of the World as We Know It”。意訳すれば「われわれの見慣れた世界がグーグルによっていかに終わらされたか」とでもなるだろう。

 著者のケン・オーレッタは、高級総合誌ニューヨーカーのテクノロジー担当のベテラン記者だ。本書の執筆のために、サーゲイ・ブリン、ラリー・ペイジの両創業者を含めてグーグル社員に合計150回ものインタビューを行ったという。なかでもエリック・シュミットCEOには11回もインタビューを敢行。グーグルの成功に果たした「プロの経営者」の役割が、本人の口から生々しく語られている。「どこかに発表された話の寄せ集め」ではなく、ほぼすべての内容が直接証言による一次資料だという点だけでも情報価値が高い。

 グーグル関連のノンフィクションは数多い。その一つ『ザ・サーチ グーグルが世界を変えた』(ジョン・バッテル著、日経BP社発行)の出版は2005年、グーグルがまだ「驚異の新興企業」だった時代をまとめたものだ。本書は『ザ・サーチ』以後、Gmail、YouTube、Google Maps、Google Docsなどのオンラインサービス群からWebブラウザーのChrome、携帯電話のAndroid、電子書籍ビジネス、著作権問題までの重要トピックを網羅している。

 ラリー・ペイジは「大切なのは現場の科学者やエンンジニアに権限があるような企業文化だ。本当に彼らの仕事を理解している人物が、管理者になるべきだ」と著者に語っている。グーグルのエンジニアは創業者やCEOに7日以内に面会してアイデアをプレゼンテーションすることができるという。これら多数の実例で、グーグルが徹底的に「エンジニアがキング」である会社だということがよく理解できる。

 550ページの大著だが、筆致は軽快で人間臭いエピソードがちりばめられているので小説のように一気に読める。訳文も分かりやすい。

評者:滑川 海彦
千葉県生まれ。東京大学法学部卒業後、東京都庁勤務を経てIT評論家、翻訳者。TechCrunch 日本版(http://jp. techcrunch.com/)を翻訳中。

グーグル秘録
ケン・オーレッタ著
土方 奈美訳
文藝春秋発行
1995円(税込)