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 「製品の組み合わせを自由に選べ、その結果としてベンダーロックインを回避できる」というのもオープンシステムのメリットだ。だが、これも現状では「組み合わせの整合性に縛られて、構成要素を組み替えにくい」というデメリットとなった。

 東京海上日動が直面するのはNotes R5の移行先OSの問題だ。1997年にR4.5を導入し、2000年にR5へとバージョンアップした。だが「それ以降は塩漬けにしている」と東京海上日動システムズの玉野本部長代理は明かす。

 R5の保守サポートは切れているが「ハードを更改してOSをAIXの最新版にすると、R5が動作しないため移行できない」という。「ワークフローといった約300個のNotesアプリケーションを開発し、バージョンアップに際して作り替えるだけで10億円以上かかるという見積もりが出た」。こうして移行タイミングを逸しているうちに、NotesやAIXはバージョンが上がり、最新のOSと古いソフトの整合性が課題になってしまったのだ。

 ヘリコプターを使った輸送や測量などを手掛ける朝日航洋でも組み合わせの課題が浮上している。利用中のプロッター(地図や設計図の作成機器)は、印刷制御ソフトがWindows NTでしか動作しないのだ。プロッター自体は使えるため、印刷ソフトを入れ替える理由はない。

 「もしNTを動かすハードの故障で、入れ替えが必要になれば最新のハードとNTのドライバーが合わないのは明らか」。昨年まで情報システム部長を務め、現在は顧問として経営と情報システムのかかわりなどをみる、情報システム部の二川義信インスペクターは、機能的に問題ないソフトを使い続けられない現状を説明する。

それでも進むしかない

 これまで見た各社は、オープンシステムを長く使ってきたがゆえに、開発当初は考慮していなかったほころびに直面した。オープンシステムのメリットを享受したからこそ、その影に苦しんでいるともいえよう。

 オープンシステムで苦労するのがいやなら、メインフレームに戻るという選択肢も浮かんでくる。「社会インフラシステムなどを担うメインフレームや COBOLは絶対に上位互換性を保って保守し続けていく」というのがメインフレームベンダーの自負だからだ。だがジスインフォテクノの石橋取締役は「システム開発のスピードとコストの面でありえない」と時間を巻き戻すことを否定する。「もはやオープンシステムが当たり前の開発技術であり、前に進むしかない」(同)。