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施策3:標準化で範囲を狭める

 オープン化で多種多様になった製品とその組み合わせを減らして標準化し、それを守り続けていくことがレガシー化を防ぐには欠かせない。「AIX、 Java、Oracleが標準構成。そこから外れた構成を利用部門が望んでも基本的に受け付けない」。こうした意思で積水化学は2000年代初めに決めた標準構成を守っている。標準以外を望む利用部門には「後の運用や更改を考えていますか」と逆に質問して納得させる。

 1980年以前から標準化に取り組む住友電気工業。奈良橋三郎 情報システム部長も「開発りん議書は必ず情報システム部門がチェックし、標準構成に沿わないものは基本的に通さない」と話す。

 標準構成は1999年以降、OSSを積極的に使ったWebシステムである()。2005年から米ノベル製のLinuxと自社開発したJavaフレームワーク「楽々フレームワークII」、PostgreSQLというフルOSSの組み合わせに変え、2006年には仮想化ソフトXenも組み入れた。現在はアプリケーションの部品化も進め、標準構成の厚みをさらに増している。

表●住友電気工業は社内標準の技術を適宜変えてきた
表●住友電気工業は社内標準の技術を適宜変えてきた

 標準構成は信頼できる組み合わせを選ぶとよい。ソフトバンクグループの通信3社が標準化を進めたのは2007年のこと。標準として採用したのは、 2004年にソフトバンクBBが構築したFTTH(ファイバー・トゥ・ザ・ホーム)の申し込み受付システムの基盤部分である。

 基盤はWindows、WebLogic、Oracleといった製品で構成する。コーディング規約や開発・テストの自動化ツールといった開発面の標準化と、ディレクトリ構成、製品のパラメータ設定といった運用面の標準化も規定してある。「この基盤はオープンシステムでもメインフレーム並みに信頼性や運用レベルを保てるように作り上げたもの」と同社 情報システム本部 顧客料金システム統括部の稲垣優 副統括部長は話す。

 まず2006年にソフトバンクモバイルの店舗受付システム「GINIE」の開発で流用した。「基盤整備を省略できたために1年かかる開発を3カ月に短縮できた。今後のスピード開発に欠かせない」(平尾常務)。現在は30システムを標準基盤で開発する。

施策4:技術マップを持つ

 製品を選ぶときの基本は「保守の継続性からメジャー製品を選ぶこと」と各社は口をそろえる。だが自社内だけで技術の潮流を読むのは難しく、先行各社は外部に情報を求めたうえで長期的な視野で技術のトレンドを読む。

 「気軽に手に入り役立つ」と近鉄エクスプレスの森長部長が評価するのが野村総合研究所が毎年発行する「ITロードマップ」だ。5年先までの重要技術が展望されている。これを参考にしつつ、ビジネス戦略に沿った形でシステムアーキテクチャー構築や人材育成、ガバナンスの計画を「IT3カ年計画」として策定している。

 ジャックスはさらに長く10年先まで見越したマップを作る。技術動向を踏まえたうえでジャックスが求める10年後のシステム像を検討する「長期ITビジョン」を策定し、2008年から毎年1回見直している。

 同社はクレジット基幹システム「JANET」をメインフレームで稼働させ、開発・運用を日本IBMに2006年から10年契約でアウトソーシングしている。今、メインフレーム上のLinuxに周辺システムを移行させる案もあり、オープンシステムも含めて全体を検討する必要が出てきた。そのためIBMのメンバーも長期ITビジョンの検討に参加させている。