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 ユーザーが自らサーバー機器を購入し、システムを構築・運用しなくても利用できるクラウドサービス。会計ソフト、グループウエア、オフィス系ソフト、便利ツールなど、多様なアプリケーションがサービスとして提供されている。しかし、そうしたサービスが明日も続くと思ってはいけない。

 利用していたクラウドサービスがある日突然停止し、データがすべて消失したという事例が2000年ころから実際に起きている。クラウドサービスは、十分な収益モデルがないまま開始されるものも少なくない。事業者が廃業したり買収されたりして、代替サービスに強制的に移行を迫られたケースもある。ユーザーはこうした事態にあらかじめ備えておく必要がある。

 対策は大きく二つある。(1)データを預けっぱなしにせず、常に手元にバックアップを取っておく、(2)利用中のサービスが停止したとき、別のサービスまたは自営システムで代替できるように手配しておく、である。代替サービスの用意が難しければ、バックアップしたデータを基に、手作業で業務を続けられるかどうかを検討しておくべきだろう。

 クラウドサービスは手軽に安価に利用でき、今後は電気や水道のような生活インフラの一部になるとも言われている。しかし実際の雲(クラウド)の中では、事業者間の壮絶な戦いが繰り広げられている。サービスが停止しても、誰も守ってはくれない。自分の身は自分で守るしかないのだ。

置田 誠(おきた まこと)
日本ヒューレット・パッカード 通信・メディアソリューションズ統括本部 ソリューション技術部 シニアコンサルタント
1993年、横河ヒューレット・パッカード(現日本ヒューレット・パッカード)に入社し、金融システム、ISPプラットフォームの開発に従事。2001年から、通信事業者向けプリセールスに従事し、新規サービスの提案、開発に取り組んでいる。工学博士(システム情報科学)。