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 「あやうく失敗するところだったがBABOKに救われた」。パスモの平井丈裕システム部 システム開発課 アシスタントマネジャー(システム担当)は振り返る。パスモは首都圏の26の鉄道と76のバスで共通して使える交通系共通ICカードPASMOを発行し、その情報システムを運営する企業だ。システムの仕様決定には各交通事業者もかかわる。

 2009年10月のことであった。当時、平井マネジャーが取り仕切っていたハードウエア統合プロジェクトは迷走していた。システム構想を練る会議に多くの関係者が出席していたが、議論が思うように進まなかった。プロジェクトの目的はコスト削減だったが、出席者よって、求める削減レベルに開きがあった。

 「我々は本当は何をしたいのだろうか」。悩んだ平井マネジャーは、BABOKについて説明した「BABOKガイド」に目を通した。そこには、「前提条件と制約条件を踏まえてプロジェクトの目的を明らかにする必要がある」と書いてあった。これが発想の転換につながった。

 平井マネジャーは次の会議で、「PASMO事業の安定稼働を前提に、コスト削減をプロジェクトの目的としたい」と提案した。パスモの運営企業としての存在意義を踏まえて、プロジェクトの目的を改めて定義したわけだ。「出席者全員が本来必要なことと分かりつつもうっかり見落としていた」(同)。

 結果的に、出席者の合意を得られた。優先すべき条件が加わったことでシステムに対する要求の優先順位も整理できた。プロジェクトは2010年1月に無事終了した。