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中田 貴弘/KDDI中国

 あれ?YouTubeにアクセスできない――。2009年3月某日、前日はアクセスできていたYouTubeを相手に、筆者は北京の自宅で悪戦苦闘していた。「中国がYouTubeへの接続を全面的に遮断」というニュースが紙面を賑わしたのはその数日後のこと。それから1年後、2010年3月22日にグーグルは中国での検索サービス事業から撤退すると正式に発表した。一連のニュースに触れ、中国事業の難しさを改めて認識した人も多かったはずだ。

 そのような事例の一方で、日本を含む多くの海外企業が、急成長を続ける中国市場において積極的に事業を拡大している。KDDI中国は主に日系企業のお客様にICTソリューションを提供しているが、拡大する中国事業を背景に、日系企業のニーズにも変化が見られる。中国におけるICTニーズの新たな潮流をいくつか紹介しよう。

DCとモバイルの利用が増加

 まず、データセンターを活用したICT基盤の強化である。仮想化の流れを受けて、複数の拠点に分散しているサーバーを統合し、基幹業務や販売系システムをデータセンターに集約する事例が増えている。データセンターとの接続は専用線が主流であったが、最近はIP-VPNやインターネットVPNを採用するケースが多い。一部地域では広域イーサネットサービスの利用も始まっている。

 次に、モバイルソリューションの活用の拡大である。当社は、第3世代(3G)携帯電話方式としてKDDIと同じCDMA2000 1X(cdma2000)を採用した中国電信と提携しているが、特に3Gのデータ通信カードを活用したソリューションの導入事例が増加している。販売店舗など小規模拠点のネットワーク化を検討しているユーザーにとって、3Gの無線アクセスは有力なソリューションとなるだろう。

中国独特の法規制に注意が必要

 最後に、セキュリティニーズの変化を挙げたい。従来は持ち出し制御や暗号化といった即効性のあるソリューションへのニーズが高かった。最近では海外現地法人における内部統制強化の動きを受け、ISMS認証取得支援や中国人社員へのセキュリティ教育といったソフト面を強化するサービスの引き合いが増加している。

 また、外国製暗号化製品の使用制限などを規定した「国家暗号管理条例」や、インターネット接続ログの保管義務などを規定した「公安82号令」といった中国独特の法規制への対応について、相談を受けることも多い。これら法規制に基づき日系企業が処罰された事例はあまり聞かないが、冒頭のYouTubeのように、ある日突然取り締まりの対象となる可能性があることは意識しておくべきだろう。

中田 貴弘(なかだ たかひろ)
KDDIの中国現地法人であるKDDI中国の営業推進部で課長を務める。1999年KDD(現KDDI)入社。2008年からKDDI中国に出向。中国本土および香港・韓国・台湾の営業企画を担当している。YouTubeが使えなくなってからは中国の人気動画サイト「土豆網」を愛用している。意外に楽しめる中国動画にはまり、中国語の能力も急上昇中(?)。