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ビジネスアナリシスをタスクとテクニックという形式で知識化

 BABOKでは、ビジネスアナリシスは、タスクとテクニックの集まりとしている。この定義通りに、ビジネスアナリシスの様々な活動を、タスクとテクニックで表現したのがBABOKだ。BABOK開発者のKevin Brennanによれば、ビジネスアナリストの役割を実行するにあたって一般的に受け入れられていると考えられる活動を、タスクとテクニックという形式で知識化し、BABOKとして体系化したという。

 BABOKでは、全部で32のタスクを定義しており、これらを7つの知識エリアに分類している(図4)。

図4●BABOKの7つの知識エリア
図4●BABOKの7つの知識エリア

 この中で、「基礎コンピテンシ」だけは、ビジネスアナリシスの実践に必要な行動、特性、知識、個人的資質を記述したものであるから、タスクとテクニックの集合として定義されているのは、「基礎コンピテンシ」を除く6つの知識エリアとなる。表2に、各知識エリアの概要を示す。

表2●知識エリアの概要
出典:「ビジネスアナリシス知識体系ガイド(BABOKガイド)Version 2.0」日本語版
知識エリア概要
2ビジネスアナリシスの計画とモニタリングビジネスアナリシスの計画とモニタリングに関係する、ステークホルダーの識別、役割と責任の定義、タスク見積もり、コミュニケーションの方法の計画、要求アプローチ・追跡・優先順位付けの方法の計画、成果物の決定、プロセス定義と方法、モニタリングに使用するメトリクスの決定などを行う。
3引き出し要求は完全で、明確で、正確で、一貫性を持つことが不可欠である。このような品質目標の達成に役立てるために、要求の引き出しに実績のある方法を記述する。
4要求のマネジメントとコミュニケーション要求をマネジメントし、さまざまな受け手に伝達するためのアクティビティと検討事項について記述する。目的はソリューションの特性の違いについてステークホルダー間で食い違いがないようにすること、および承認の権限を持ったステークホルダー間でソリューションが要求を満たすという合意を形成することである。
5エンタープライズアナリシスビジネスニーズやビジネス問題あるいはビジネス機会を識別するために必要なアクティビティ、またそのニーズを満たすソリューションの特性を定義するために必要なアクティビティ、そしてそのようなソリューションのデリバリに対する投資を正当化するために必要なアクティビティを記述する。
6要求アナリシス表明された要求を分析する際に用いるタスクとテクニックを記述する。その分析は、候補となるソリューションがステークホルダーのニーズを満たすために備えるべき能力を定義するために行う。
7ソリューションのアセスメントと妥当性確認ソリューションがビジネスニーズを満たすことを確認し、ソリューションの実装を成功へと推し進めるタスク。これらのアクティビティによって、ソリューションのコンポーネントをアセスメントし、妥当性を確認する。
8基礎コンピテンシビジネスアナリシスの実践に必要な行動、特性、知識、個人的資質について記述。

 また、図5に、タスクとテクニックの例を示した。

図5●BABOKのタスクとテクニックの例
図5●BABOKのタスクとテクニックの例

 以上、今回は北米を中心としてビジネスアナリシスへの取り組みが大きく発展する中でBABOKが登場してきたことと、BABOK最新版であるVersion2.0日本語版を引用して、BABOKが定義するビジネスアナリシスの概要を紹介した。

 次回は、なぜいまBABOKなのか、さらに踏み込んで解説する予定である。ビジネスアナリシスの実践はどのような問題を解決し、どのような価値をもたらすのか、について解説する予定だ。

IIBA、BABOKは、International Institute of Business Analysisの登録商標です。

宗 雅彦(そう まさひこ)
サイクス 代表取締役/IIBA日本支部 研究担当理事
高い生産性での高品質なIT・ソフトウエアの導入・開発支援に従事。IIBA日本支部では、BABOK日本語版の翻訳プロジェクトマネジャー・監修を務め、ビジネスアナリシス研究部会を研究担当理事として企画・運用するなど、ビジネスアナリシス研究の第一線で活動。IIBAの“BABOK Agile Extension”プロジェクトにプロジェクトメンバーとして参画中。