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 中国では様々なコピー品が横行している。上海万博のテーマソングが、日本の作曲家のものだと認められたニュースも記憶に新しい。日本では多くの人が守るべきという認識を持つ知的財産権だが、中国では日本とは全く異なる価値観を持つ人たちがいる。コンプライアンスの観点から、海賊版の排除にはしっかりと取り組みたい。そこで今回は、海賊版から自社を守る方法を考えてみたい。

上海万博で変わった?!中国の著作権事情

 中国にはコピー品が実に多い。人民広場から南京東路に伸びるメインストリートを歩くだけでも、日本人である筆者を見つけて「お兄さん、ニセモノあるヨー」と流暢な日本語で声をかけてくる。また中国では、CD、DVDなどの専門店は日本に比べて少なく、あったとしても大半の商品がコピー品である店舗がほとんどだ。ちなみに正規品のCD、DVDは書店で売っていることが多い。

 ところが、上海万博が始まる前から公安の取り締まりが厳しくなった。各国からの訪問客に中国への良い印象を持たせることが目的なのだろう。メインストリートには公安が多数いて、コピー品の販売を見つけて取り締まるようになった。その結果、コピー品のバイヤーはメインストリートからは影を潜めた。だが表立って販売することをやめただけで、コピー品が排除されたわけではない。

 コピーDVDを販売するショップでは、公安が店頭で調査し、積極的に取り締まっている。しかし、ショップでは店の奥に隠し部屋を作り、表には正規品のDVDだけを並べ、隠し部屋にコピーDVDを配置するようになっただけだった。違法なので問題ではあるが、一方で商魂たくましいとも感じる。

海賊版にまつわるトラブルとは?

 中国に進出した企業が直面するトラブルの一つに、社内での違法コピーソフトの利用がある。会社の立ち上げなどでパソコンをまとめて購入した際に、一部のOSが違法な海賊版だったり、OSが本物でも海賊版ソフトが勝手にインストールされていることがある。ソフトウエア以外に、ノートパソコンのバッテリーがニセモノで電力保持が不十分なために困るという、想像を超えたトラブルが発生するのが中国の現状だ。

 現地社員が仕事をするのに便利だからという理由で、海賊版ソフトをインストールしてしまうこともある。情報自体に価値を見いださない国民性や、インターネットからのダウンロードが簡単にできてしまうことも手伝って、日系企業でも困るケースは多い。

 このような著作権違反に対応するため、大手ソフトウエア会社はチェックを行っている。Microsoft社は、北京にある大企業などに対してWindowsのライセンスの検査を実施した。海賊版への抑止効果が期待できる活動である。

社内から海賊版を排除するには

 対策はどうすればよいか。まず、パソコンやソフトウエアをまとめて購入する際に、海賊版が混入する可能性を考慮する必要がある。中国の大手家電量販店などでパソコンを買っても海賊版が含まれることがあり、完全に排除するのは難しい。そこで海賊版の混入が確認されたときに、無償で正規品に交換できるような契約を結ぶ方法が良い。授権証という形で納入業者と契約を結び、もし海賊版があったら無償で交換させるという事後対策である。

 社員に海賊版をインストールさせないためには、社員教育が必要だ。そもそも罪悪感を持たずに海賊版を利用することがほとんどなので、まずは海賊版が違法であることをしっかりと伝える。利用が見つかったときに軽微な罰則を与えるのも、中国ではよく実施される方法だ。そのうえで、パソコンのアクセス権を制限してインストールをできなくしたり、責任者が定期的にパソコンの点検を行ったりすると良いだろう。

 さて、上海万博が始まり、現在も違法コピーの時計やDVDは表向きなりを潜めている。2010年10月末に上海万博が終了したあと、果たして著作権にかかわる動向はどのように変化するのであろうか。


富田 一成(とみた・いっせい)
ラック ビジネス開発事業部 セキュリティ能力開発センター
CISSP、CISA

このコラムでは、上海に拠点を置くラックのエンジニアが現地で体験したことを基に、中国のセキュリティ事情と、適切なセキュリティ対策について解説します。(編集部より)