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 新入社員に「学校を卒業しても勉強は卒業しないこと。生涯勉強を続けるように」とアドバイスしている。その手前、勉強のイメージをちょっと小馬鹿にしたような『つまみぐい勉強法』という題名が気になって本書を手に取った。

 まず著者は「IT業界は楽しいところです。仕事とは関係なく土曜日や日曜日にわざわざ勉強会にでかけていく人も多くいます。(中略)本書を通じてあなたに伝えたかった一番のことは、業界の楽しさです」と述べる。そして本書の言う理想の技術者とは、「仕事が終わってからもついつい勉強してしまうような、楽しく学び続ける人」だという。いずれも全く同感だ。

 こうした著者の考えに基づき、本書は全体を通じて勉強を楽しく継続することを原点に置いている。「守りの勉強法」と題した章では、経験を通じて得た情報の重要性を説く。「フランス料理はソースを舐めてレシピを覚えて技を伝承する」ことを例示。システム開発の最終的なアウトプットであるソースコードこそ宝の山であると指摘する。

 一方、仕事以外に積極的に勉強する「攻めの勉強法」では、本を読むことを強く薦めている。「著者が何年もかけて体得してきた知識、体験のエッセンスを、本からならば数日間で手に入れられる」からだ。これもまた然りである。

 終盤の「思考タイプ別勉強法」では、幕末・明治に活躍した大久保利通、山県有朋、西郷隆盛、坂本龍馬の4タイプに分けて、勉強法を説明している。本書の薦めに従って、4人の生き様を本などで知った上で、勉強に臨んでみてはいかがだろうか。

 IT業界は、なんと言っても人材が命だ。若手の読者は、楽しく学び、楽しく働き、成長していけるヒントを本書から得られるだろう。管理職にも若手の育成、楽しい業界作りのために一読を薦める。日本発のクリエイティブな情報システムが生まれる、楽しい職場が多く誕生することを期待したい。

評者:村林 聡
銀行における情報システムの企画・設計・開発に一貫して従事。三和銀行、UFJ銀行を経て、現在は三菱東京UFJ銀行執行役員システム部長を務める。
グーグル秘録

IT業界を楽しく生き抜くための「つまみぐい勉強法」
奥 乃美/渋川 よしき著
技術評論社発行
1764円(税込)