帝京大学医学部附属病院は数十億円を費やし、新たな病院情報管理システムを2009年5月に稼働させた。麻酔科の医者が“プレーイングマネジャー”を務め、SOA(サービス指向アーキテクチャ)の考え方に基づいて新システムを構築した。新たに導入した電子カルテシステムや検査システムなどを統合。これにより、患者の氏名や各種医療検査結果、病状などに関するデータを一元管理している。<日経コンピュータ2009年10月14日号掲載>

図1●帝京大学医学部附属病院のシステム構築の狙い
図1●帝京大学医学部附属病院のシステム構築の狙い
[画像のクリックで拡大表示]
図2●新しく構築したシステム「iEHR」の全体像
図2●新しく構築したシステム「iEHR」の全体像
電子カルテシステムや部門システムの情報を1カ所に集約する環境を整えた
[画像のクリックで拡大表示]

 帝京大学医学部附属病院(以下、帝大病院)が構築したのは、病院情報連携基盤や電子カルテシステムなどからなる「iEHR」である。新システムを構築した狙いの一つは、患者に対する適切な医療情報を提供すること。医師や看護師などの情報共有を密にし、診療業務の正確さやスピードを高めることも目指す(図1)。

 このために帝大病院は、患者に関するデータを一元管理し、「病院情報ポータル」で患者の氏名や診療記録などを参照できるようにした。

 iEHRは、検査部や手術部、診療科などが利用する検体検査システムや生体情報モニタリングシステムなど「部門システム」から、検査結果や診断画像などのデータを集約する(図2)。iEHRの構築と同時に新規導入した、電子カルテシステムが保持する診療記録データも、統合データベースに転送する仕組みだ。

 「患者データの一元化とカルテの電子化によって、院内の業務の効率が格段に高まった。以前は、目的とするカルテを見つけ出すのに30分かかることもあったが、今では5秒で済むようになった」。iEHR構築プロジェクトを指揮した帝大病院の情報システム部長である澤智博氏は、新システムの導入効果について話す。

 iEHR構築プロジェクトにかかわったのは、帝京大学の医学部で麻酔科学講座准教授でもある澤部長と、システム担当部員6人である。澤部長は医師としての仕事と兼務でプロジェクトをけん引した。

 新システムをSOAに基づいて構築することに決めたのも、澤部長である。「システムの機能追加・変更のスピードを高めることと、ベンダーロックインを避けたかったからだ。特定のIT企業の技術や製品・サービスに依存せず、その時々に応じた最適な手段を採用できるような体制を整えておきたかった」。澤部長は、SOAを実現することに決めた理由についてこう語る。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

日経クロステック登録会員になると…

新着が分かるメールマガジンが届く
キーワード登録、連載フォローが便利

さらに、有料会員に申し込むとすべての記事が読み放題に!
日経電子版セット今なら2カ月無料