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村上氏写真

村上 智彦(むらかみ・ともひこ)

 1961年、北海道歌登村(現・枝幸町)生まれ。金沢医科大学卒業後、自治医大に入局。2000年、旧・瀬棚町(北海道)の町立診療所の所長に就任。夕張市立総合病院の閉鎖に伴い、07年4月、医療法人財団「夕張希望の杜」を設立し理事長に就任同時に、財団が運営する夕張医療センターのセンター長に就任。近著書に『村上スキーム』。
 このコラムは、無料メールマガジン「夕張市立総合病院を引き継いだ『夕張希望の杜』の毎日」の連載コラム「村上智彦が書く、今日の夕張希望の杜」を1カ月分まとめて転載したものです(それぞれの日付はメールマガジンの配信日です)。運営コストを除いた広告掲載料が「夕張希望の杜」に寄付されます。

2010年7月2日

 先週の日曜日に札幌で第4回慢性看護学会の講演に出かけて来ました。1人体制になってからスケジュールの調整が大変なのですが、遠くから駆け付けて下さる先生方のお陰で何とかやりくりができています。

 私は「地域医療の再生 患者・家族を支える予防医療への転換」という題で1時間ほど話をさせていただきました。

 主として夕張市の以前の総合病院の中途半端に高齢化と闘う医療から、高齢化を受け止めて支えていく医療にするために、在宅を中心に展開している今の取り組みの話をしました。

 地域医療の中では「医療の充実」というと、箱と人数しか議論に出てこないのですが、医療の質や住民のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を重視することはあまりありません。

 いつも講演の中で「安心して死んでいける地域を作る」ことが医療の再生であって、「高度な医療があれば人が死なないと勘違いする」ことではないと説明しています。

 講演が終わってから、担当者の方と今後の夕張での看護師さんの研修について打ち合わせをしました。地域で何を目標に、何を学び、どんな結果を出して活字にして行くのか、といった話をしていました。

 この話がうまくいけば、夕張医療センターは医師と看護師と薬剤師の地域医療の研修施設になります。

 研修施設として機能するためには、学ぶべきものがあることがとても大切ですが、都市部でも学べるものではなく、地域だからこそ学べるものがないとなりません。いつもそのことを意識しているつもりです。

 同じ週末に東京で第1回プライマリケア合同学会があり、永森先生と八田先生が発表していました。

 永森先生は「医師による未成年への死の教育の教育効果」という演題で、八田先生は「福祉施設での口腔ケアに歯科が介入することによる介護職員の意識変化調査および口腔・義歯清掃状態の変化」という演題でした。

 某大手新聞社が永森先生の発表に興味を持ち、東京まで直接取材に行った様子です。外へ向けて発信していくことの大切さは感じていますし、開設当初からこの方針は変わっていません。

 八田先生の発表ではある病院の先生が「うちの施設でも歯科がこれくらいやってくれると助かるな~」とつぶやいていたそうです。

 発表後もずいぶん質問や議論で盛り上がっていたのだそうですが、永森先生の話では「村上先生は大丈夫なのか?」といった質問も多かったそうです。

 世間では大騒ぎになっていましたが、夕張市の中では以前より職員は頑張っていますし、いつものように最初の方針通りに仕事をしているだけです。

 混乱というのはあくまでここの方針に反発した人達や何かを壊してスキャンダルを楽しむ一部マスコミが言っているだけの話です。

 このメルマガでは私は原稿を書いている立場ですが、原稿を書いてくれる職員が増えたお陰で読むのも楽しみになりました。

 最初嫌がっている職員も多かったのですが、やってみると案外反響もあり、手ごたえを感じているようです。

 いつも暖かく見守って下さる皆様に感謝します。ホームページやツイッターもやっていますので、是非お立ち寄りください

2010年7月9日

 週末に今年2回目の草刈りをしました。「たかが草刈り」と思っておられるかも知れませんが、実はとても重労働ですし奥が深いと思います。

 北海道は冬が長いせいもあり、本州に住んでいた時よりも草が伸びるスピードが早いように感じています。あっという間に腰の高さまで伸びています。

 以前は手で刈っていたのですが、ここの住宅の庭はとても広くて大変なので、エンジン付きの草刈り機を購入してやっています。

 これを使うと速くて効率はいいのですが、小石や草の汁がすごい勢いで飛んでくるので、長袖の厚めのつなぎを着て、手袋を付けて(振動防止用の手袋)、ゴーグルやバイザーを付けて、草が張り付いてくるので草刈り用の前掛けをして、長靴をはいて炎天下に草刈りをします。

 草刈り機の刃も回転式ののこぎり状のものと、ナイロンのひも状の刃がありますが、壁際や土の状態で使い分けています。

 自分の家の周りだけでも真剣にやれば1時間くらいかかりますが、今回は空いている住宅と隣の家の3軒分をやりました。

 つなぎが汗で濡れるくらい汗をかき、休んでいるところに呼び出しの電話が入り中止となりました。

 草を刈った後も大変です。数日乾かしてかさが減ったところでレーキを使って草を集めて積み上げます。最後に道路に飛び散った草をほうきで掃いて終了です。

 冬は雪かき、夏は草刈りと北海道はやることが多いと改めて思うのですが、生活の一部と思えば苦にはならないですし、慣れてくると案外楽しく感じるものです。多分今年はあと1回くらい草刈りをする予定です。

 除草剤をまいても良いのですが、環境を考えると気が進みません。もう少し時間があれば、刈った草を堆肥にして使いたいところですが、なかなか実現していません。

 そんなわけで夕張にお越しの際には「草刈り体験」もオプションで可能です。

 今週も色々ありましたが、概して良いことがたくさんありました。特にビフォーアフターというイベントで、老人保健施設入所者の皆さんにプロの美容師の方やスタイリストさんがお化粧をして、その後皆さんでホテルにお菓子やアイスを食べに行ったようです。

 プロの皆さんが「化粧ののりがいい」と感心しておられました。中には「初めて化粧をした」と言っていた方もいたのですが、皆さんずいぶん楽しんでいたようです。

 毎週の理事会も内容が充実してきて、多くの問題が解決に向かっています。新しい理事の皆さんも頑張ってくれています。以前はできない理由ばかり出てきて新しい試みは停滞していましたが、ずいぶんスムーズになりました。

 私は気がつくとすでに7月の予定がいっぱいになっています。講演や視察や取材、研修や見学、原稿依頼に他施設への支援など、休みを取る暇はありません。その半面、大変な状況を聞いて大学やある医療機関から支援の話も来ています。

 とてもありがたいことです。

 北海道は例年にない暑さで熱中症や脱水の高齢者が増えてきました。言葉遊びをしている人達は気楽でうらやましいのですが、私達はいつものように現場で限られた資金と人数で日々頑張っています。

 早くここの地域が何でも人のせいにして過去に戻ることから、自分達で新しい町創りをしていくことを祈りながらまた明日から汗をかきます。