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 マルチエリアOSPFの基本的な概念に関する設問だ。マルチエリアOSPFでは、ネットワークをいくつかのエリアに分割して、エリア内のルーター同士だけで経路情報を交換する。こうすることでルーターの処理負荷を抑える。

 各エリアを識別するのがエリアIDだ。エリアIDには任意の数字を指定できるが、「エリア0」には特別な意味がある。これは「バックボーンエリア」と呼ばれ、OSPFのネットワークに必ず存在する。そしてエリア0には、他のすべてのエリアが必ず接続するというルールになっている。一方、シングルエリアOSPFではエリアが一つ(エリア0)しかないので、ルーターは必ずこのエリア0に属することになる。

 マルチエリアOSPF上のルーターは、設置個所によって4種類のタイプに分類される(図1)。「内部ルーター」は、特定のエリアのみに属しているルーターのこと。「バックボーンルーター」はエリア0に存在するルーターを指す。また、複数のエリアをつなぐ境界に位置するルーターは「エリア境界ルーター(ABR)」、OSPFネットワークと他のルーティングプロトコルを使うネットワークとの境界にあるルーターを「AS境界ルーター(ASBR)」と呼ぶ。

図1●OSPFのルーターのタイプ<br>接続しているエリアによって、OSPFネットワーク上にあるルーターは4種類のタイプに分類される。一つのルーターが複数のタイプに属することもある。
図1●OSPFのルーターのタイプ
接続しているエリアによって、OSPFネットワーク上にあるルーターは4種類のタイプに分類される。一つのルーターが複数のタイプに属することもある。
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 問題のルーターXを見てみよう。OSPFネットワークとインターネットとの境界に位置するのでASBRである。つまり正解は選択肢aになる。

負荷を軽くするマルチエリアOSPF

 問題を解くには直接関係ないが、なぜマルチエリアOSPFが必要になるかも知っておこう。

 OSPFでは、経路を決める際にリンクステートの情報を基にする。まず、ルーター同士でHelloパケットを交換し、ネットワーク上で隣り合うルーターである「ネイバー」として認識する。その後で「LSA」という情報を交換し、「どのルーターがどのネットワークに接続しているか」をまとめたデータベースを作る。このデータベースを基に最適な経路を決め、ルーティングテーブルを作成する。

 なお、ルーターのネイバー関係をまとめたテーブル(ネイバーテーブル)を確認したいときは「show ip ospf neighbor」、LSAをまとめたテーブル(トポロジーテーブル)をチェックしたいときは「show ip ospf database」を使うので覚えておこう(図2)。

図2●OSPFの隣接関係とトポロジーを確認する<br>「show ip ospf neighbor」を実行すると、ルーターYの隣接関係の状態(ネイバーテーブル)が表示される。「show ip ospf database」を実行すると、トポロジーを把握するための情報(トポロジーテーブル)が表示される。なお、ここではコマンドによるルーターIDの設定や、ループバックインタフェースの設定はしていない。<span style="vertical-align: middle;"><img src="bar.jpg" width="40px"></span>はコマンド入力部分。
図2●OSPFの隣接関係とトポロジーを確認する
「show ip ospf neighbor」を実行すると、ルーターYの隣接関係の状態(ネイバーテーブル)が表示される。「show ip ospf database」を実行すると、トポロジーを把握するための情報(トポロジーテーブル)が表示される。なお、ここではコマンドによるルーターIDの設定や、ループバックインタフェースの設定はしていない。はコマンド入力部分。
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 OSPFではルーターにトラブルが起こるなどしてネットワークの構造が変わると、ネイバーにLSAを送り直す。すると、データベースの内容もルーティングテーブルも変わってしまう。

 ネットワークの規模が大きいと、その分トラブル発生や設定の変更などの可能性が高くなり、ルーティングテーブルも頻繁に更新される。すると、ルーターに負荷がかかり、処理が重くなる。

 こうした現象を防止するためにマルチエリアOSPFがある。ネットワークをエリアに分割して、エリア内だけでLSAをやりとりし、ほかのエリアの情報は集約した経路情報として扱う。こうすることでルーティングテーブルの膨張を防ぎ、ルーターの負荷を軽減している。

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ルーティング編 第6回 OSPFのしくみを知る
ルーティング編 第7回 OSPFを設定する