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 「安定稼働しているのに、ソフト会社の都合でバージョンアップするのは嫌だ。できればやりたくない」。多くの企業のシステム部長の本音はこうだが、避けられない場合が多い。気が乗らない作業は手際よく終わらせたいものだ。最新の「Windows 7」や「Office 2007」など主要ソフトの更新に取り組んだ33社に取材を敢行。「検証・改修作業量を5分の1に」「古いパソコンを生かし5000万円節約」「見積額の3分の2で作業完了」など、ちょっとの工夫で成果を出した企業がいくつもあった。バージョンアップを安く・早く・楽に乗り切ろう。

 クライアントソフトのバージョンアップは、パソコンの台数が多いほど面倒だ。特に手間がかかるのが、パソコンで動かしている業務アプリケーションが新しいOSやオフィスソフトでも正常に動作するかどうかを検証したり、改修したりする作業である。

 これらを効率よく進めるには、ポイントがある。最新版にこだわらない、検証対象を絞り込む、改修の優先順位を付ける、仮想化技術で回避策を作る、といった方策がそうだ(図1)。

図1●クライアントソフトを賢くバージョンアップするためのポイント
図1●クライアントソフトを賢くバージョンアップするためのポイント
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最新版にこだわる必要などない

 バージョンアップというと、最新版に移行することを前提に物事を考えるかもしれない。これは間違いである。

 最新版に固執せず、セキュリティパッチが無償で提供される保守サポート期間を見て、比較的新しいバージョンを選択するのが得策だ。つまり、「保守サポート期間が3~5年残っていれば、最新版ではなく一つか二つ前のバージョンを選択する」ということだ。

 資生堂がこの考え方で、オフィスソフトをバージョンアップした。マイクロソフト製オフィスソフトの「Office 2007」ではなく、一つ前の世代の「Office 2003」を選んだ(表1)。

表1●取材したユーザー企業におけるクライアントソフトのバージョンアップに関する主な取り組み
表1●取材したユーザー企業におけるクライアントソフトのバージョンアップに関する主な取り組み
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 同社は2008年9月から約3カ月間かけて「Office 2000」からOffice 2003に移行した。Office 2003の保守サポート期間は2014年4月までなので、移行した時点から5年以上保守サポートを受け続けられる(図2)。

図2●WindowsとOfficeのバージョンと保守サポート期間
図2●WindowsとOfficeのバージョンと保守サポート期間
ここでは、出荷開始からバグ修正対応プログラムやセキュリティパッチの提供が打ち切られるまでの期間を保守サポート期間として示した。
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 保守サポート期間が5年以上残っていたこと以外にも、Office 2003を選択した理由がある。「Office 2007に移行するとなれば、利用している業務アプリケーションの改修作業に相当な手間がかかる恐れがあった」(資生堂の毛戸一彦情報企画部課長)からだ。

 最新版のOffice 2007へのバージョンアップを検討するため、資生堂はパソコンで動かしている200本以上の業務アプリケーションについて、Office 2007で正常に動くかどうかをチェックした。

 この結果、Office 2007に移行する場合、多くの業務アプリケーションを改修する必要があると分かった。これに対し、Office 2003ではそのまま修整せずに動かせるものが多かった。

 残りの保守サポート期間に余裕がある。業務アプリケーションの改修作業の手間があまりかからない。この二つの面から、新たに利用するバージョンを選択するのが得策だ。